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感じていた視線…「こっち見ないで」と突き放した同級生。卒業式の日、視線の理由に気づいた【短編小説】

感じていた視線こっち見ないでと突き放した同級生卒業式の日視線の理由に気づいた短編小説

 同じクラスの気になる男の子

高校の三年間、私の斜め前の席には、いつも高橋健太(たかはし けんた)くんが座っていました。

彼は、決して目立つタイプではありませんでした。休み時間も一人で静かに本を読んでいるか、窓の外をぼーっと眺めているか。そんな彼と私が言葉を交わすことは、ほとんどありませんでした。

ただ、ずっと気になっていたことが一つだけあります。
それは、授業中に感じる視線です。黒板からノートに視線を落とすふとした瞬間、必ずと言っていいほど彼と目が合うのです。
彼は慌てて目をそらすのですが、それが何度も続くと、さすがに私も気味が悪くなってしまいました。

「ねえ、やめてくれない?こっち見ないで」

ある日の放課後、ついに我慢できなくなった私は、彼にそう言い放ってしまいました。
健太くんは、まるで時が止まったかのように固まって、何も言えずに俯いてしまいました。
その日から、彼が私に視線を向けることは二度とありませんでした。

そして、あっという間に卒業式の日。
結局、健太くんとは気まずいまま、謝ることもできないまま、私たちは高校生活を終えようとしていました。

彼の視線の理由とは

式が終わり、最後のホームルーム。先生が涙ながらに「みんな、卒業おめでとう」と言った後、ふと思い出したように一枚の紙を取り出しました。

「あ、そうだ。言い忘れるところだった。実は、先日行われた全国高校絵画コンクールで、このクラスから最優秀賞が出たんだ!」

教室が「えー!」「誰々?」と一気に騒がしくなります。まさか、うちのクラスにそんなすごい人がいたなんて。

先生は、満面の笑みでその名前を読み上げました。

「高橋 健太くん!」

全員が、息をのみました。あの、静かだった高橋くんが?信じられない気持ちでみんなが彼の方を向くと、彼は恥ずかしそうに立ち上がりました。

「それじゃあ、受賞作品をみんなで見てみようか」

先生がそう言ってスクリーンに映し出した一枚の絵。
そこに描かれていたのは、教室の窓際で、少し憂いを帯びた表情で頬杖をつく女子生徒の横顔でした。
夕日が差し込む教室の、光と影のコントラストがとても綺麗なその絵は、誰が見ても私の姿でした。

彼の視線の意味を、私はその時初めて知りました。私の心ない一言は、彼の創作意欲を、そしてもしかしたら淡い想いさえも、踏みにじってしまったのかもしれません。

ありがとうも、ごめんねも、おめでとうも、何一つ伝えられないまま、彼の大きな背中は、教室の扉の向こうに消えていきました。

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

 

 

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