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トウモロコシ(メイズ)がグアムの食文化を変えた?かつての主食の栄枯盛衰に触れる


日本から約3時間半で行けるグアム、この南国リゾート地には郷土料理やバーベキュー、ハンバーガーなど多くの料理があり、観光客や地元観光客を楽しませています。しかし、かつてのグアムの食料を長く支えてきたのは、なんとトウモロコシ(メイズ)なのです!

 

一方で今のグアムでは、トウモロコシは大きな存在感を発揮していません。それはなぜでしょうか?

 

この記事では、グアムの食文化で重要な作物の1つ、トウモロコシの栽培が増加して主食となった背景や、今ではなぜトウモロコシの栽培が減ってしまったのかなどを紹介します。

 

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「チャモロ料理」はグアムで古くから伝わる郷土料理

 

まず、グアムの食文化についての理解を深めるべく「チャモロ料理」について紹介します。チャモロ料理とは、グアムで古くから伝わる郷土料理です。

 

チャモロ料理で代表的なものといえば、アチョーテの実で赤く色づけられた米の「レッドライス」や、メインの食材である鶏肉や牛肉などと、みじん切りした玉ねぎやレモン汁や酢などであえた「ケラグエン」などが有名です。

 

グアムのレッドライス

 

 

チャモロ料理で欠かせない調味料が「フィナデニソース」です。フィナデニソースとは、醤油や酢に、みじん切りした玉ねぎや唐辛子、レモン、ライムなどを加えて作られた調味料です。さっぱりした味わいで、チャモロ料理に添えられていることが多く、フィナデニソースをつけて料理を食べられるようになっています。

 

チャモロ料理は、どの料理にも「甘さ・辛さ・酸っぱさ」のいずれかが濃厚に現れているのが特徴です。家庭料理として今も親しまれており、大皿に盛って各自で取り分けて食べるのがグアムスタイルです。

 

参考:グアムのチャモロ料理とは?代表的な料理や人気レストランを紹介♪

侵略の歴史がチャモロ料理を形成している

チャモロ料理はアメリカやスペイン、東南アジア、そして日本などの文化を吸収してできており、グアムの歴史を色濃く反映した料理ともいえます。

 

グアムは数千年前、先住民のチャモロ人が住んでいました、1565年にスペインのコンキスタドール(征服者)であるミゲル・ロペス・デ・レガスピがグアムの領有権を主張して以降、アメリカと日本に侵略されてきた歴史があります。

 

そのような侵略の歴史の中で、チャモロ料理はさまざまな国の文化を吸収し、今の姿を形成しているのです。

 

現代のチャモロ料理にはバーベキューや豚の丸焼きなどがありますが、先住民のチャモロ人が住んでいた時代は漁生活が主流であり、当時は豚も牛もいなかったといわれています。

 

また、チャモロ料理の中には「ルンピア(春巻き)」や「パンシット(焼きビーフン)」といった、フィリピン料理をチャモロ風にアレンジした料理がありますよ。

 

フィリピン人はスペイン統治時代に、労働者確保などの理由で多くのフィリピン人がグアムに移住してきた過去があり、その影響か今のチャモロ料理の一部にも、フィリピンの文化が色濃く反映されているものがあります。

 

参考:グアムのチャモロ文化を深く知ろう! チャモロ人が育んできたチャモロ文化に触れてみよう

かつての主食はトウモロコシだった!?スペインが持ち込んで主要な作物の1つに

 

実は、かつてのグアムの主食はトウモロコシでした。長年、グアムの食生活を維持してきた、歴史の中でも重要な食材の1つといえます。なお、メイズとはトウモロコシのチャモロ語です。

 

1565年、スペインはグアムの領有を宣言し、以降333年間にわたってスペイン統治時代が続きました。この時、スペインの宣教師たちがメイズ(トウモロコシ)の栽培を教えたため、スペイン統治時代~第二次世界大戦以前までトウモロコシはグアムの主な作物の1つとなり、耕作地の大部分をトウモロコシの栽培で占めていました。

 

なお、スペインがアメリカからトウモロコシを持ち込んだといわれています。

 

かつてのグアムでは、食用とは別に、栽培のために、年に2回トウモロコシを植えていました。トウモロコシは2か月半で収穫でき、1回目は4~5月、2回目は9~10月に植えていたようです。裕福なチャモロ人は水牛をもち、鋤(すき)を引いて土地を開墾し、多くのトウモロコシを植えていました。

トウモロコシはトルティーヤなどにして食べられていた

▲コーンのトルティーヤのイメージ

 

当時はグアムのどの村でも、トウモロコシを乾燥させる光景が見られたといいます。

 

グアムの熱い炎天下の中、家の外に特別なマットを置き、その上にトウモロコシを置いて乾燥させたそうです。乾燥させたトウモロコシは、将来の作物のために保管されるか、料理にしました。一方で、悪いトウモロコシは家畜の餌となっていました。

 

アメリカ大陸から持ち込まれた石臼を使って、乾燥したトウモロコシが挽かれていたようです。または、メキシコ文化から持ち込まれた「メタテ」という、磨り潰しの石皿を使っていたようですね。

 

挽かれたトウモロコシについて、最も一般的な用途は「ティティヤ(トルティーヤ)」でした。トルティーヤの材料となる粉「マサ」を作るため、石臼やメタテを使って乾燥したトウモロコシを挽いていました。

 

トウモロコシの主たる料理はトルティーヤでしたが、ほかにもタマレス(トウモロコシ粉をメインにほかの食材なども蒸した料理)にしたり、穂軸のまま茹でたり、焼いたり、ココナッツミルクで煮たりもされていたそうです。

今ではトウモロコシを栽培できなくなった

スペイン統治時代~第二次世界大戦まで、グアムの食料を長く支えてきたトウモロコシでしたが、今のチャモロ料理といえばレッドライスやケラグエン、バーベキューなどが有名で、トウモロコシ(メイズ)はそれほど大きな存在感を発揮していません。

 

Guam Department of Agriculture(グアム農務省)の『HARVESTING SUSTAINABILITY, CULTIVATING PROSPERITY Guam’s Agriculture Master Plan Phase I – Strategic Plan 』によると、第二次世界大戦後、グアムではトウモロコシを含む主食作物の生産が大幅に減少しました。

 

1939年には約203万ポンドもトウモロコシが生産されていましたが、1949年には約57万ポンドと、28%ほどまで減少。その後も減少が続き、現在では戦前レベルの約5%にまで落ち込んでいます。

 

ここまでトウモロコシが減少した理由については、上記グアム農務省の資料で、次のように分析されています。

 

  1. 戦後、軍事施設のために多くの優良農地が失われた
  2. 賃金労働へ移行した
  3. 生鮮果実や野菜へ生産が移行した

トウモロコシが栽培されなくなった原因①戦後、軍事施設のために多くの優良農地が失われた

第二次世界大戦後、グアムの土地所有の構造は大きく変化しました。

 

米軍政府は1946年までに、グアムの大部分の土地を、軍事施設や連邦経済局(FEA)が運営する政府農場のために接収しました。そのため、チャモロ人の所有地は、全土地面積の13%(約70平方マイル)にまで減少します。

 

特に、生産性の高い優良農地の多くが軍用地となり、農業生産に大きな影響を与えました。こうした出来事もあって、グアムでは土地の所有に関して不確実性があり、多くの農家は農業への再投資をためらってしまいます。

トウモロコシが栽培されなくなった原因②賃金労働へ移行した

第二次世界大戦後、グアムでは政府機関での雇用機会が大幅に増加し、多くの島民が農業から賃金労働へと移行しました。

 

戦後の米国政府は、以前のスペイン政府と比較して20倍もの高い賃金で労働を提供したため、多くの人々が政府関連の仕事に従事するようになりました。実際、1919年までに働く男性人口の約3分の1が政府または貿易業に雇用されており、農業生産は急減しています。

 

こうした、高賃金の安定した雇用機会と比べると、農業は労働集約的で収入が不安定だったため、特に若い世代は農業から離れる傾向にありました。

トウモロコシが栽培されなくなった原因③生鮮果実や野菜へ生産が移行した

初期の戦後政策では主食となる作物の復活を試みていましたが、一転して、1975年頃までに政策の重点は、生鮮果物や野菜の生産に移行しました。

 

戦後のグアムでは輸送インフラが発達したため、外国から安価に食料を輸入できるようになります。そのため、グアムの農家は輸入品と価格競争になり、結果としてトウモロコシなどの主食より生鮮野菜のほうが優位性があると判断されるようになりました。

 

デデドの朝市で販売されている野菜や果物

 

輸送技術が発達していない時代には、生鮮野菜を輸入することは困難で、地元産のものが市場で優位に立てました。一方、輸送インフラが発達したことで、政府の農業支援が主食作物から野菜・果物生産へとシフトし、トウモロコシなどの伝統的作物への支援が減少したことで、結果として生産の減少につながりました。

今のグアムの主食はパンと米になっている

トウモロコシが主食ではなくなった今のグアムで、主食となっているのがパンです。アメリカ領であるグアムにはアメリカの文化が浸透しており、主食としてパンが食されている家庭も多くなっています。

 

また、グアムでは米も主食としており、島外から輸入しています。先ほど紹介したレッドライスは、チャモロ料理の主食です。そのため、同じく米を主食とする日本人にとってもグアムの食文化は非常に馴染みやすく、旅行者にグアムのご飯が好評な理由ともなっています。

 

クラウンプラザリゾートグアムの朝食ビュッフェ
▲クラウンプラザリゾートグアムの朝食ビュッフェポキとご飯の相性が抜群

 

ただ、トウモロコシも完全になくなったわけではなく、例えばグアムでも人気料理の1つ、バーベキューでもトウモロコシが出されることがあります。バーベキューといえば、トウモロコシも欠かせないですよね!

 

▲ナナズカフェのバーベキューもちろんトウモロコシもあり

 

グアムの食文化はトウモロコシが主食であった過去とは大きく変わりましたが、チャモロ料理を筆頭に、アメリカンな料理なども楽しめる南国リゾートです。旅行の醍醐味ともいえる料理、ぜひグアムで満喫してみてくださいね♪

まとめ:チャモロ文化を守るトウモロコシの大切さ

グアムでは、スペイン統治時代から第二次世界大戦前まで主食だったトウモロコシが、戦後の軍用地接収や賃金労働への移行、輸送インフラの発達による輸入食材の増加などにより、生産量が戦前の約5%まで減少しました。現在の主食はパンと米に移り変わりましたが、トウモロコシはチャモロ文化の中でも重要な意味を持ち続けています。

 

ぜひ、グアムの食文化への理解を深めつつ、グアム旅行でのグルメを楽しんでみてくださいね♪

 

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※参考資料

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