自身の名を冠したシューズブランドが人気の英デザイナー、ニコラス・カークウッド(Nicholas Kirkwood)。彼のブランドは今年で10周年を迎え、ミランダ・カー(Miranda Kerr)、ジェシカ・アルバ(Jessica Alba)、キルスティン・ダンスト(Kirsten Dunst)などといった多くのセレブもファンにつけて好調だが、ニコラスとしてはこれまでの10年間の成功よりも、自分のブランドのこれから先の将来に、よりワクワクしているという。
「最初の10年は、単なる始まりだと思っている」と、ニコラスはファッション業界紙WWDに対して語った。
「ブランドで何を訴えたいかを定めるのが、最初の10年だった。ブランドが以前より確立しているこの次の10年は、ブランドの幅を広げ、これまで探求して来なかった他のカテゴリーにも、出来れば挑戦していく10年になる」
ニコラス同様、今年自身が率いるブランドが10周年を迎えたビッグネームのデザイナーには、他にもアレキサンダー・ワン(Alexander Wang)やロクサンダ・イリンチック(Roksanda Ilincic)などがいる。
軽やかで明るい色使いと、成人用女性服と共に子供服ラインを提供することでも知られるロクサンダも、いろいろな企画を温めているようで、10周年にあたり、自分のブランドの軌跡をじっくり振り返るよりもむしろ将来にやはり目が向いているようだ。
「ファッションの変化は実に早くて、後ろを振り返って変化に気付く時間さえあまりないぐらい」と、ロクサンダは語った。
「常に次のショー、次のコレクションに、気が行っていているからでしょうね。いまは新しい機会を掴もうと、わたしはひたすら前を見据えている。新しいカテゴリーを自分のブランドに加えていくつもりよ」
ロンドンを根拠地に、ロクサンダやジョナサン・サンダース(Jonathan Saunders)などのブランドに投資しているインドの戦略投資家エイーシャ・バーティ・パスリカ(Eiesha Bharti Pasricha)は、デザイナーにとってのブランド立ち上げからの10年につき、別の角度から分析する。
「新しいファッションブランドが、売上1000万ポンド(約18.5億円)を超えるのに、10年はかかるのが普通。これは他の産業で誕生する新しい企業に比べると、かなり時間がかかるということ」と、彼女は指摘する。
「ファッション業界というのは、それだけきびしい、同業者がせめぎ合う、成功が移ろいやすい産業なのよ。日々新しいブランドが生まれ、飽和状態でもある業界ですもの」
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