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「降ります。通してください」満員電車で立ち尽くすおばあさんを救った、男性の毅然とした一言

「降ります。通してください」満員電車で立ち尽くすおばあさんを救った、男性の毅然とした一言
見て見ぬふり?扉の前で繰り返される「すみません」
朝の通勤ラッシュ。
立っているのもやっとの満員電車に揺られ、私はいつものように会社へと向かっていました。
車内は殺伐とした空気。皆が自分のスペースを確保することに必死で、周囲への配慮など二の次、といった緊張感が漂っています。
駅が近づき、電車の速度が落ち始めた頃です。
扉のすぐ近くで、小柄なおばあさんが困ったような表情を浮かべていました。彼女はどうやらこの駅で降りたい様子。
しかし、扉の真ん前に立つ一人の人物が、まるで壁のように立ちはだかっていました。
「すみません、降ります。通してください……」
おばあさんは、か細い声で精一杯伝えます。
しかし、目の前の人物はスマホを眺めたまま、ピクリとも動きません。
聞こえていないのか、それともわざと無視しているのか。おばあさんは何度も「すみません」「降りたいんです」と繰り返しますが、周囲の冷ややかな沈黙にその声はかき消されてしまいます。
「……どうしよう、降りられない」
不安げにキョロキョロと周囲を見渡すおばあさん。
その様子をすぐ側で見ていた私の胸には、やり場のないモヤモヤとした感情が募ります。
助けてあげたいけれど、この密着した状況でどう声をかければいいのか。そんな躊躇が私を動けなくさせていました。
混雑を切り裂く勇気。スカッとした朝の結末
ついに電車が止まり、プシューッと扉が開きました。それでもなお、目の前の人物は頑として場所を譲ろうとしません。おばあさんの顔に焦りが色が浮かんだ、その瞬間でした。
「ちょっと、そこの人。どいてあげてください」
少し離れた場所に立っていたスーツ姿の男性が、静かながらもよく通る声で割って入ったのです。
「このおばあさん、さっきから降りたいって言ってますよ。降りる人が先でしょう?」
ハッとしたように顔を上げたのは、扉を塞いでいた本人でした。男性の真っ直ぐな視線と毅然とした態度に気圧されたのか、その人は気まずそうに、ようやく大きく脇へ避けました。
「ああ、ありがとうございます……! 助かりました」
おばあさんは何度も頭を下げながら、ようやくホームへと降りていきました。その背中を見送った男性は、何事もなかったかのように再び吊り革を掴みます。
一部始終を見ていた私の心は、驚くほどスカッと晴れ渡っていました。言いたいことを代弁してくれた彼への感謝と、勇気を出せなかった自分への反省。そして何より、一人のひと言が停滞した空気を一変させた鮮やかさ。
「次は、私が声をかけられる人になろう」
冷たいはずの満員電車で、誰かの優しさに触れた朝。駅のホームに吹き抜ける風が、いつもより少しだけ温かく感じられました。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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