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「遠足のお弁当、ついでにうちの分も作って」図々しいママ友。当日、私が渡した弁当箱の中身とは【短編小説】
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本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
「ついで」という魔法の言葉
それは遠足の前日のことでした。
保育園のお迎え時、いつも一方的なお願いばかりしてくるママ友に呼び止められました。
「ねえ、明日の遠足のお弁当、ついでにうちの分も作ってくれない? どうせ自分の子の分作るんだし、手間は一緒でしょ? 3人分、よろしくね!」
彼女は「ついで」と言えば何でも無料になると思っている節があります。
私が「材料費も手間もかかるから…」と断ろうとすると、「友達でしょ? ケチケチしないの!」と笑って強引に押し切られてしまいました。
家に帰り、怒りがふつふつと湧いてきました。
「手間は一緒」? 「ついで」? その言葉、そっくりそのままお返しして差し上げましょう。私はある「名案」を思いつきました。
翌朝、私は早起きして、我が子のためにとびきり可愛いサンドイッチ弁当を作りました。
パンは型抜きし、野菜は飾り切り。愛情たっぷりの力作です。
そして、彼女一家に渡すお弁当も用意しました。
ずっしりと重いその箱を、集合場所で彼女に渡しました。
「はい、これ。『ついで』に作っておいたわよ」 彼女は「やっぱり持つべきものは友だちね! サンキュー!」と大喜びで受け取りました。
弁当の中身は
そして迎えたお昼の時間。
芝生の上で、彼女が得意げにお弁当箱を広げました。
「見て見て~! 料理上手のママ友に作ってもらったの!」
しかし、蓋を開けた瞬間、彼女の笑顔が凍りつきました。 そこに詰められていたのは――
「大量のパンの耳の素揚げ」と「野菜の皮とヘタのきんぴら」のみ。
お弁当箱の中はサンドイッチを作った際に切り落としたパンの耳。
飾り切りで余った人参や大根の切れ端。ブロッコリーの太い茎。
そう、我が子のお弁当を作る過程で出た「余り物」たちです。
「な、何これ…ゴミじゃない!?」と叫ぶ彼女に、私は涼しい顔でこう答えました。
「え? だってあなたが『ついで』でいいって言ったじゃない。メインはうちの子のお弁当だから、その過程で出た『ついで』の部分を詰めておいたのよ。味付けは美味しいはずよ?」
「ついで=余り物」。 その理屈に周囲のママたちは納得の表情で頷き、こらえきれずに吹き出していました。
彼女は顔を真っ赤にして、何も言い返せませんでした。
結局、そのお弁当を黙々と食べていましたが、二度と私に「ついで」のお願いをしてくることはありませんでした。
言葉の意味を正しく理解することの大切さを、彼女も少しは学んでくれたのかもしれませんね。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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