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ヤクルトの名に秘められた医学博士の執念。世界共通語をベースに造語を生み出した背景

毎日のように冷蔵庫に入っている、あるいはスーパーの棚で何気なく見かけるあの小さな容器。
私たちにとってあまりに身近な存在である「ヤクルト」ですが、その名前の由来をご存知でしょうか。
日本発祥の飲料でありながら、実は日本語でも英語でもありません。
そこには、ある一人の医学博士が抱いた、人類の健康への並々ならぬ執念と壮大なドラマが隠されていました。今回は、国民的飲料の知られざるルーツを紐解いていきます。
1935年、ひとりの医学博士の切実な願い
時代は1935年(昭和10年)に遡ります。当時の日本はまだ豊かとは言えず、衛生状態の悪さや栄養不足から、感染症で多くの子供たちが命を落とすという残酷な現実がありました。
その状況に強く胸を痛めたのが、創業者の代田稔(しろた みのる)です。「病気にかかってから治すのではなく、病気にかからないための予防医学こそが重要だ」という強い信念のもと、彼は微生物の研究に没頭します。
来る日も来る日も顕微鏡に向かう過酷な研究の末、彼はついに生きて腸まで到達する乳酸菌の強化培養に成功しました。そして、誰もが手に入れられるよう、安価でおいしい乳酸菌飲料の製造・販売に漕ぎ着けたのです。
なぜ英語ではなく「エスペラント」だったのか
この画期的な発明に彼が名付けたのが、「ヤクルト」という言葉でした。この不思議な響きは、ヨーグルトを意味する「Jahurto(ヤフルト)」をベースにした造語です。
しかし、最も驚くべきはその言語の選択にあります。これは特定の国の言葉ではなく、世界中の人々が平和に交流できるよう作られた人工言語「エスペラント語」を由来としているのです。
「世界中の人々の健康を守りたい」。代田博士の視線は、開発当初からすでに国境を越え、世界中の人々の命へと向けられていました。特定の国家や文化、権力に偏らず、世界の架け橋となるべく作られたエスペラント語は、彼の普遍的な願いを託すのに最もふさわしい言語だったと言えます。
参考:「Yakult」
おわりに
1935年の誕生から長い年月が経ち、ひとりの医学博士が人工言語に託した切実な願いは、現実のものとなりました。現在、ヤクルトは日本という枠を越え、世界40の国と地域で毎日飲まれるまでに成長しています。
私たちが何気なく手に取っているその名前には、国境や人種の壁を越えてすべての人の健康を願う、祈りのような想いが込められているのです。次にその小さなボトルのキャップを開けるときは、世界共通語に込められた壮大な歴史に、少しだけ思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

GLAM Entame Editorial
編集部
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