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外食時に「1円単位で割り勘ね」とドケチな彼。しかし、私が誕生日だと伝えると空気が一変【短編小説】

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
ドケチな彼
彼は優しくて真面目な人なのですが、お金に関しては驚くほどシビアなのです。
デートでの食事代は、どんなに少額でも必ず割り勘。
それも、1円単位できっちりと割るのが彼のルールでした。
「合計3,450円だから、君は1,725円ね。小銭ある?」
レジ前で財布の中身を細かく確認されるたび、私の心は少しずつ冷めていきました。
ケチなのが嫌というより、私との時間を「損得」や「数字」で管理されているようで、なんだか悲しかったのです。
ある日の夜、私たちは少し雰囲気の良いイタリアンのお店に入りました。
美味しい料理を楽しんだ後、やってきたのはいつもの「お会計タイム」です。
彼は慣れた手つきでスマホの電卓アプリを立ち上げ、レシートを睨みつけました。
「えっと、合計が5,880円。だから一人2,940円だね。」
その瞬間、私の中で何かがプツンと切れました。
今日が何の日か、彼は忘れている。
もういいや、これで終わりにしよう。私はふと口にしました。
今日は私の誕生日
「……今日、私の誕生日なんだけどな」
その一言で、テーブルの空気が一変しました。
電卓を叩く彼の手がピタリと止まります。
店内のBGMが遠のくような静寂が、私たちの間に流れました。
彼はゆっくりと顔を上げ、焦った様子で私を見つめました。
「え……今日? ごめん、完全に忘れてた!」
そして彼は、決死の覚悟を決めたような顔をして、こう提案してきたのです。
「じゃあ、今日は特別だね! ……俺が5,000円だすよ!端数だけだしてくれればいいよ!」
その瞬間、私の頭の中で「別れ」の二文字が確定しました。
私の誕生日の価値は、彼にとってはたったの5,000円。しかも「端数だけ」という恩着せがましい言い方。期待した私が馬鹿でした。
私は静かに財布を取り出すと、千円札を6枚、テーブルに叩きつけました。
「えっ、ちょっと、多いよ?」と慌てる彼。
私は笑顔で彼に告げました。
「ううん、いいの。これは今日のご飯代と、今まで細かく計算してくれた『事務手数料』。お釣りはいらないから、そのお金で新しい彼女と割り勘でもしてね」
「え? どういうこと?」
ポかんと口を開ける彼を置いて、私は席を立ちました。
「さようなら。もう二度と会うことはないわ」
店を出た瞬間、夜風が驚くほど心地よく感じられました。
私はその足でデパ地下に向かい、自分への誕生日プレゼントとして一番高いホールケーキを買いました。
1円単位の呪縛から解き放たれたこの誕生日を、私は一生忘れないと思います。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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