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「ゴミ置き場のネット外すな」と責められた私。カラスに荒らされていたのは隣人のゴミ袋だった【短編小説】

荒らされたゴミ置き場
私の名前は結衣(ゆい)です。
私が住んでいるアパートのゴミ置き場は、カラス被害を防ぐため、住人が協力して大きなネットをかける決まりになっています。
ある朝、いつものようにゴミ袋を置き、他の袋もしっかり覆うようにネットをかけました。
風が少し強かったので、念入りに重しで裾を固定し、これで大丈夫、とアパートに戻ろうとした時のことです。
「ちょっと、あなた!」
背後から、隣に住む高木さんの鋭い声が聞こえました。
高木さんはルールに厳しく、少し気難しいことで有名な方です。
「今、ネット外したままで行こうとしたでしょ!だからカラスに荒らされるのよ!」
「いえ、そんなことは…。ちゃんと掛けましたけど」
「嘘おっしゃい!ネットの端がめくれてたのが見えたわよ。最近の若い人は本当に無責任なんだから」
高木さんは私の言い分を全く聞かず、一方的に決めつけると、ぷいっと顔を背けて自宅に戻ってしまいました。
理不尽な言い方に腹が立ちましたが、朝から揉めるのも嫌で、私は何も言わずに仕事へ向かいました。
その日の夕方、私が仕事から帰ってくると、アパートの前が大変なことになっていました。
ゴミ置き場がカラスに襲われ、生ゴミが広範囲に散乱していたのです。
そして、その前には腕を組んで仁王立ちする高木さんの姿が。
高木さんは私に気づくと、鬼の形相で近づいてきました。
「ほらご覧なさい!あなたが今朝、ちゃんとネットを掛けなかったせいで、このザマよ!」
散乱したゴミを見ると…
しかし、散乱したゴミをよく見て、私はすぐに気づきました。
ビリビリに破られたゴミ袋から出てきているのは、昨日の夜、高木さんが「美味しいのよ」と自慢していた、高級スーパーのお惣菜の容器ばかりだったのです。
そして、その隣には、私が今朝出したゴミ袋が、破られることなく無傷で残っていました。
どうやら、高木さん自身がゴミ袋の口をしっかり縛っていなかったため、カラスに狙われてしまったようです。
呆然とする高木さんの横で、私は静かに言いました。
「高木さん、これ、私のゴミじゃないみたいです」
私の言葉に、高木さんはハッとした顔でゴミに目を落とし、自分の失態に気づいたのでしょう、みるみるうちに顔が真っ赤になっていきました。
自分のことは棚に上げて、人を責めていたのは、一体どちらだったのでしょうか。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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