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恐怖…内定辞退した会社から届いた謎の”内定祝い” 私だけに届いた理由に背筋が凍った【短編小説】

内定辞退…送られてきた謎の”内定祝い”
大学4年の春、私はある老舗メーカーA社の内定を辞退した。
理由はシンプル。「なんとなく雰囲気が合わなかったから」。
最終面接の空気は重く、なぜか人事の人の笑顔がずっと引きつっていた。
内定を出されたときも、私は正直に思った。
「ここに入ったら、何かが腐っていきそうだな」って。
そして、正式な辞退メールを送り、別の企業B社に進むことを決めた。
なのに、届いた
引っ越し直後の新居。
薄いダンボール箱に「A社」の文字。送り主は「人事部」。
え?と思いながら開けると、
中には紅白まんじゅうと“内定お祝い”の熨斗(のし)。
メッセージカードの意味とは?
手書きのメッセージカードも入っていた。
「ご入社、おめでとうございます。
〇〇さんの今後のご活躍を、心よりお祈り申し上げます。
株式会社A社 人事部一同」
…いや、辞退しましたけど?
気味が悪かった。でも、なんとなく笑って流した
たぶんシステムで自動送付されたんだろう。
内定者向けギフトの宛名を整理してないんだ。
それにしても雑だな〜と、友達とLINEで話して、笑って終わらせた。
紅白まんじゅうは食べずに冷凍庫へ。
そのまま忘れていた。
1ヶ月後、異変に気づいてしまった…
でも1ヶ月後、“おかしい”と気づいた
B社で仲良くなった同期・田中が、こう言った。
「そういえばA社、俺も内定辞退したんだけど、あそこ辞退メール出すと返信こないよね?」
「うん、そうそう。でもさ、私、お祝いの品届いたよ」
「…は?お祝い?俺、何も来てないけど」
そこで初めて気づいた。
あの箱、全員に届いたわけじゃなかった。
さらに、後日届いた“メール”が決定打だった
差出人は、A社の人事部ではなかった。
件名はこう書かれていた。
「【ご確認ください】A社内定辞退に関する面談について」
なぜ“辞退した会社”から、“面談”?
本文にはこうあった。
「突然のご連絡失礼いたします。
貴殿の辞退理由について、社内で検討の必要があると判断し、
ぜひ一度、オンラインでお話を伺いたく存じます。」
面談を受けてみた結果
面談に応じたら、もっと怖かった
興味本位で、私は面談に出た。
画面に映ったのは、あのときの人事部長。
開口一番、彼はこう言った。
「〇〇さん、正直に言ってください。
辞退の本当の理由は、“誰かに止められた”からではありませんか?」
「は…?」
話がかみ合わなかった。
どうやらA社は、“辞退者が出る=社外からの妨害”と捉えているらしい。
その後、また届いた。今度は封筒だけ
差出人不明。手書き。中にはこう書かれた便箋1枚。
「あの会社、辞退者リスト作ってます。
‘調査対象’って名前で、共有されてますよ。
返信しないでください。誰にも言わないで。」
そして、まんじゅうの存在を思い出す
冷凍庫の奥にしまいっぱなしの“紅白まんじゅう”。
私は恐る恐る、包装紙を剥がした。
底面に、細いペンで何かが書かれていた。
「No.019 ―状況観察中」
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