藤井麻未

2015.09.21(Mon)

馬で歩く絶景のアンダルシア~スペイン ロンダ~

写真1

■ロンダでの目的は……
前回ご紹介したスペイン南部、アンダルシア州に位置する小さな街ロンダ。数時間もあれば回れるほどこぢんまりとしたこの田舎町は、通常ならばツアーの途中で立ち寄る程度。しかし、私が今回ここへ滞在することを決めたのには理由があったのです。

マドリードから列車で4時間かけて到着すると、車窓が次第に変化するのがわかります。オリーブの木が生える比較的平坦な土地から、ロンダ周辺になると小高い山地、そしてそれを川が侵食してできた深い峡谷が現れます。ロンダは、そんな峡谷の断崖絶壁にできた街。その独特の景観はダイナミックで、美しく、そして神秘的です。

街の展望台からは彼方に霞む原野の風景が果てしなく広がります。実は、ロンダには馬に乗せてくれる厩舎があり、私は馬を使ってこの峡谷の下に降り街の全貌を眺めてみたかったのです。宿のオーナーのホセさんに相談すると、すぐに近くの厩舎を紹介してくれました。

写真2
秋のアンダルシアはオフシーズン。どうやら客はほとんど来ないらしく、馬の世話をしていた少年が私の案内人となってくれました。ロンダの原野、田園風景の中を行く3時間のコースで40€。日本の乗馬体験などは1時間弱で1万円近くすることを考えると破格です。

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■いよいよ馬に乗って
さて、いよいよロンダの自然散策スタートです。少年の後についてまずは崖の下まで。ちょろちょろ流れる小川の流れが馬の蹄を濡らします。ふと振り返ると、早くも先ほどまでいた急峻な崖とそれにかかるヌエボ橋の姿が。朝霧のかかったその姿はあまりに幻想的で、まるでどこか別世界のよう。

写真4
「ミゲル」と名乗る少年はスペイン語しか喋りません。対する私は挨拶程度のスペイン語と、英語のみ。言葉が通じるはずもない二人でも、ロンダの素晴らしき自然はコミュニケーションに一役買ってくれます。

どんぐりの木が密集する地帯では、高級生ハムとなるでっぷりとしたイベリコ豚が繋がれ、暴れまわっていました。ミゲルくんはそれを私に見せようと、得意げに豚の周りをウロウロ。

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農閑期の畑に入り込んでは、暴れん坊将軍よろしく、人のいない畑の斜面を土を蹴り上げながら駆け回り私を楽しませくれます。


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かと思うと、ちょっと休憩!とばかりに森を抜けたところにある一軒の民家に入って行きます。実はここはミゲルくんのおばあちゃん家。お昼の支度をしていたのか、古くて小さい家の煙突からは煙が立ち、良い匂いがしてきます。ミゲルくんはおばあちゃんからパンやチョコレートをもらい満足気。一人前に観光客の相手をしているミゲルくんも、まだまだ甘えん坊の子どもなのです。パンを美味しそうに頬張るミゲル君の後ろ姿が、なんだかたまらなく愛おしく思えました。

写真7
■美しきロンダの自然
さて、街を離れてから一体どの辺りまでやってきたのでしょう。気が付くと、市街地のある峡谷が遥か彼方に霞んで見えます。正直、乗馬ズボンもブーツもグローブもしていない状態で、しかも馬場ではなく野山を3時間も駆け回るのはなかなか大変。けれど、ロンダの美しき自然と、そこをまるで自分の庭のように駆け回るミゲル君にすっかり魅せられ、疲れなどいつの間にか何処かへ吹き飛んでしまっていました。

写真8
街へ戻ってきたのは午後1時過ぎ。お昼を食べるとさすがに疲労感が押し寄せ、すっかり眠り込んでしまいました。起きたのは家々に明かりが灯り始める頃。その明かりをぼんやりと眺めながら、蹄ごしに踏みしめた大地の温かい感触を、いつまでも感じていました。

写真9



◆宿泊ホテル
Hotel Jardín de la Muralla
13, Espíritu Santo Street - RONDA 29.400
Tel +34 952 87 27 64
http://www.jardindelamuralla.com/en/index.php


◆厩舎情報
Hotel Jardín de la Murallaからすぐ、旧市街の外れにあるアルモカバル門近く。ホテルオーナーのホセマリアさんに聞けばアレンジしてくれる。

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“元添乗員の国外逃亡旅行記” http://mamfuj.hatenablog.com/













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