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彼の浮気を暴いた“お揃いのマグカップ”。私が仕掛けた“完璧な罠”に、彼は声も出なかった【短編小説】

彼の浮気を暴いたお揃いのマグカップ私が仕掛けた完璧な罠に彼は声も出なかった短編小説

秘密の社内恋愛に影が…

彼氏の亮平と私は、同じ会社に勤めています。
部署が違うため、私たちの関係は社内では秘密。
でも最近、彼が同じ部署の彩香さんと、やけに親しげに話しているのが気になっていました。

ある日、彼のデスクに見慣れないマグカップが置かれているのを見つけました。
シンプルでお洒落な、彩香さんが好きだと言っていたブランドのもの。
私の心に、黒い疑いの気持ちが芽生えました。

真実を確かめたい。その一心で、私は同じデザインのマグカップを二つ、こっそり購入しました。
そして翌朝、始業前の誰もいないオフィスで、計画を実行したのです。

計画決行の日

亮平のデスクに置かれていたマグカップを、私が用意した新品のマグカップとすり替える。
見た目は全く同じ。彼がそれに気づくことはないでしょう。
そして、私が彼のデスクから持ってきた「本物」のマグカップを、今度は私のデスクの上に、わざとらしく置いておきました。

罠は、仕掛けられました。

その日の午後、亮平が私のデスクにやってきました。
その手には、私が置いておいた「本物」のマグカップが握られています。彼は少し怪訝な顔で、私にこう言いました。

「奈緒。これ、君のデスクにあったよ。俺のと同じみたいだけど、どうしたの?」

私は、この瞬間を待っていました。

心臓は早鐘のように鳴っていましたが、できる限り落ち着いて、にっこりと微笑んでみせます。

「え?ああ、それね。亮平とお揃いで使いたくて、私が買っておいたんだよ。サプライズで昨日、あなたのデスクに置いておいたの。気に入ってくれた?」

私の言葉に、亮平の顔が凍りつきました。
彼が手にしているのは、おそらく彩香さんから贈られたであろう「本物」のマグカップ。
しかし私は今、それを「私からのプレゼントだ」と宣言したのです。

ここで彼が「いや、これは彩香さんからもらったものだ」と言えば、浮気は確定。
かといって、私からのプレゼントだという主張を無下に否定することもできない。彼は、完全に袋小路に追い込まれました。

亮平は、手の中のマグカップと私の顔を、絶望的な表情で何度も見比べています。
彼のその顔が、知りたかった全ての答えでした。

私が仕掛けた、お揃いのマグカップ。
それは、二人の関係の終わりを告げる、最初で最後のペアグッズになったのです。

 

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

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