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部下が取引先を怒らせ、一緒に謝罪。「次は気をつけような」と後日、励ましの文章を送ると…【短編小説】

部下が取引先を怒らせ、一緒に謝罪。「次は気をつけような」と後日、励ましの文章を送ると…【短編小説】
部下のミスで謝罪
「申し訳ございませんでした!」
取引先の応接室で、私は深々と頭を下げていました。
隣では、入社2年目の部下が同じように体を小さくしています。
今回のトラブルの原因は、彼による発注ミス。先方の担当者様は顔を真っ赤にして怒っており、その剣幕にただただ謝り続けるしかありませんでした。
「管理不足で申し訳ありません。以後は二度とこのようなことがないよう、体制を見直します」
私の言葉でようやく場が収まり、会社に戻る帰路についたのは、すっかり日が落ちてからのことでした。
駅までの道のり、部下は明らかに落ち込んでいます。
肩を落とし、ため息をつく彼を見て、私は少し可哀想に思えてきました。
(誰にだって失敗はあるわ。ここで潰れてしまわないよう、フォローするのが上司の役目よね)
私は彼に缶コーヒーを手渡し、「今日はもう直帰していいから、ゆっくり休みごらん」と優しく声をかけて別れました。
その日の夜。
自宅でお風呂上がりにスマホを手に取った私は、彼へのフォローを忘れてはいけないと思い立ちました。
あまり長文だと説教くさくなるし、かといって何も送らないのも冷たい気がする。
私は言葉を選びながら、短くメッセージを打ち込みました。
『今日はお疲れ様。相手の方も最後は分かってくれたし、あまり気に病まないで。次は確認を一緒に徹底して、次は気をつけような』
送信ボタンを押し、一息つく私。
これで彼も少しは救われるだろうか。明日、また元気に出社してくれればいいけれど。
返信を見てモヤモヤ
数分後、スマホが震えました。彼からの返信です。
私は「すみません、頑張ります」といった殊勝な言葉を予想しながら、画面を開きました。
しかし、そこに表示されていたのは、たった一つ。
お礼らしき動きをしている馬のスタンプ。
……え?
それだけ?
文章は一切なし。
キャラクターが可愛らしく敬礼している絵柄がひとつ、ポンと置かれているだけです。
取引先を激怒させ、私が必死に頭を下げて、慰めの言葉まで送った結果が、これ?
「……嘘でしょ」
思わず独り言が漏れました。
私の感覚が古いのでしょうか。それとも、これが今の時代の「普通」なのでしょうか。
画面の中で陽気に敬礼を続ける猫を見つめながら、昼間の胃の痛みとはまた違う、脱力感に襲われるのでした。
明日、彼にどう接するべきか。私の悩みは、ミスそのものよりも深くなってしまった気がします。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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