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ゾッとする…私を切り抜いた彼と彼を検索した私。SNSの1枚に潜む2人の同罪とは?【短編小説】

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
幸せなはずの2人
「ここ綺麗だったね」 そう言って、海辺で彼と一緒に撮った写真。
夕日に照らされた二人の影が砂浜に長く伸びて、あの時は間違いなく、私たちは幸せな恋人同士でした。
でも、その数時間後、彼のSNSにアップされた写真を見て、私の心臓はドクリと嫌な音を立てました。
そこに写っていたのは、私を綺麗に切り抜いた、彼一人だけの世界でした。
隣にいたはずの私の肩も、風になびいていた髪も、跡形もなく消去されています。
ただの「お洒落な風景写真」として処理された私。
悲しみというより、冷たい水が背中を伝うような、得体の知れない違和感を覚えました。
「どうして私を消したの?」 そんな単純な言葉が、どうしても喉の奥でつかえて出てきません。
問い詰めて「たまたま構図が悪かっただけだよ」と軽くあしらわれるのが怖かったのかもしれません。
彼を調べた結果
代わりに私が手にしたのは、スマートフォンの検索画面でした。
彼の名前、過去の所属、共通の友人のフォロワーリスト。
私はまるで熟練の捜査官のように、彼にまつわる情報の断片をネットの海から拾い集め始めました。
深夜の暗い部屋で、青白い液晶の光に照らされた私の顔は、きっと彼が見たこともないほど冷酷で、執着に満ちていたはずです。
検索の果てに見つけたのは、私が知らない彼の「別の顔」でした。
私と会っていない日に、別の女性と親密にやり取りする記録。
彼は私を画像から消去することで、新しい誰かを迎え入れるための「余白」を作っていたのです。
でも、一番ゾッとしたのは、彼の裏切りを知った瞬間ではありませんでした。
夜通し彼を調べ上げ、ついに秘密を暴き出したとき、私は歪んだ達成感で無意識にニヤリと笑っていたのです。
彼がスマホの上で私を物理的に切り抜いたように、私は彼のプライバシーという聖域を、指先一つでズタズタに切り裂いていました。
私を切り抜いた彼と、彼を検索し尽くした私。
どちらがより残酷で、どちらがより異常なのでしょうか。
暗転した画面に映る自分の顔を見て、私は確信しました。
私たちは、お互いを消し去り、暴き合うことでしか繋がれない「同罪」の二人なのだと。
画面を閉じても、指先の震えは止まりませんでした。
でも、明日も私は何食わぬ顔で彼に微笑むのでしょう。
彼が私を消したその画面の裏側で、私もまた、彼という人間を別の意味で消し去り続けているのだから。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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