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エレベーターで「デブは乗るな」と言う男。重量ブザーが鳴ると、視線が男の足元に集中したワケ【短編小説】

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
満員エレベーターでの心ない言葉
私が勤めるオフィスビルは、朝の通勤ラッシュ時になるとエレベーターが争奪戦になります。
ある日の朝、運良くやってきたエレベーターに乗り込もうとした時のことです。
中は混雑していましたが、あと一人分くらいのスペースは空いていました。
「失礼します」
私が足を一歩踏み入れた瞬間、奥に立っていたスーツ姿の中年男性があからさまに舌打ちをしました。
そして、私に向かってこう吐き捨てたのです。
「チッ、デブは乗るなよ。ブザー鳴るだろ」
私は決して痩せ型ではありませんが、そこまで言われるほどではありません。
あまりの暴言に耳を疑いましたが、反論する間もなくドアが閉まりかけました。
鳴り響くブザーと公開処刑
『ビーーーッ!』 無情にも重量オーバーを知らせるブザーが鳴り響きました。
男性は勝ち誇ったような顔で私を指差します。
「ほら見ろ! 言わんこっちゃない。迷惑なんだよ、降りろよ」
密室で全員の視線が私に刺さります。
恥ずかしさで顔が熱くなり、私が降りようとしたその時でした。
「ちょっと待ってください。お姉さんは悪くないですよ」
奥にいた若い女性が凛とした声で言いました。
「ブザーの原因、そっちじゃないですか? 皆さん、足元を見てください」
足元に隠された「真犯人」
全員の視線が、暴言を吐いた男性の足元に集中しました。
そこには、男性の両足に挟まれるようにして、パンパンに膨れ上がった巨大なボストンバッグが隠されていたのです。
「そのバッグ、床に置く時にすごい音がしましたよね。金属のサンプルか何かですか? かなり重そうですけど」
図星を突かれた男性は「ぐっ」と言葉を詰まらせました。
彼は荷物が重いのをごまかすために足元に隠し、涼しい顔をして乗っていたのです。
「ち、違いますよ!」
と言い訳しながらバッグを持ち上げようとしましたが、片手ではびくともせず、両手で「んぐっ」と唸りながら抱える始末。
「誰がどう見ても、原因はそれですね」
周囲からの冷ややかな視線に耐えきれず、男性は顔を真っ赤にして逃げるように降りていきました。
彼が降りると、ブザーはピタリと止まりました。
自分の荷物の重さも量れない人に、他人の容姿をとやかく言う資格はありませんよね。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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