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「ごめん、実は…」と震える夫。机の上に置かれた未開封の督促状を見た瞬間、私が泣いた理由【短編小説】

ごめん実はと震える夫机の上に置かれた未開封の督促状を見た瞬間私が泣いた理由短編小説

夫の最終通告書

「ここ数日、夫の様子がおかしい」

そう感じていた私の予感は、最悪の形で的中することになりました。

夕食後、青白い顔をした夫が、土下座をする勢いで私を呼び止めました。

「ごめん、実は…もう隠しきれないんだ」

ガタガタと震える手で彼がテーブルに差し出したのは、禍々しい赤字で『最終通告書』と印字された一通の封筒でした。

「スマホで動画を見ていたら登録完了の画面が出て…無視していればいいってネットで見たから放置していたんだけど、昨日これが届いて…。五百万円なんて払えない。裁判を起こされたら会社にも迷惑がかかるし、家も差し押さえられるかも…」

夫は真面目だけが取り柄の小心者です。
涙目で

「君には迷惑をかけたくない、離婚してくれ」

とまで言い出す始末。
私は心臓が早鐘を打つのを感じながら、その封筒を手に取りました。

(五百万円……。私たちの貯金を崩しても足りない……)

絶望的な気持ちで、震える指先で封を開け、中身の請求書に目を落としました。

真面目過ぎた夫

その瞬間、私の目からポロポロと涙がこぼれ落ちました。
それを見た夫は、

「泣かせてごめん!」

とさらに頭を低くしましたが、私は言葉が出ませんでした。
悲しくて泣いたのではありません。 笑いがこみ上げてきて、涙が止まらなくなったのです。

「……っ、ふふっ、あはははは!」

突然爆笑し始めた私に、夫はキョトンとしています。

「あなた、これよく見てよ! 発行元の名前!」

私が指差した箇所には、こう書かれていました。

『法務省管轄・インターネット動画未納料金回収センター 住所〇〇県◯◯市△△△』

「あなた住所よく見て、これ隣町の田んぼのど真ん中よ?」

さらに本文をよく見れば、

『至急連絡なき場合は、逮捕します』

と、ありえない文面も。

「えっ…? じゃあこれ…」

「ただの架空請求詐欺よ。しかもだいぶ低レベルなやつ」

私が涙を拭きながら説明すると、夫は全身の力が抜けたようにその場にへたり込みました。
あまりに古典的な詐欺に、真面目すぎて本気で騙されかけた夫。
その純粋さが愛おしくもあり、呆れもした出来事でした。

後日談ですが、この件で夫は「自分は騙されやすい」と自覚したようで、お小遣いの管理もすべて私に委ねてくるようになりました。
我が家の家計の主導権が完全に私に移ったことこそが、この事件の最大の「収穫」だったのかもしれません。

 

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

 

 

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