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兄「お前の奨学金、使っちゃった」まさかの爆弾発言…理由を聞いても黙ったまま。一体なぜ?【短編小説】

兄のまさかの告白
私にとって大学進学は幼い頃からの夢でした。
実家は裕福でなかったので、奨学金をもらうことが、その夢を叶える唯一の方法だと知っていました。
まとまった金額が口座に振り込まれたとき、私は生まれて初めて希望に満ちた気持ちになりました。
入学まであと半月という頃、その希望は粉々に砕かれます。
リビングでテレビを見ていた私に、一つ年上の兄が、どこか落ち着かない様子で話しかけてきました。兄はフリーターで、生活は不安定でした。
「あのさ、ちょっと話があるんだけど…」
「何?改まって」
「お前の…奨学金、使っちゃった」
心臓がドクンと嫌な音を立てました。一瞬、何を言われたのか理解できませんでした。
「…え?どういうこと?」
「そのままの意味だよ。お前の口座にあった奨学金、全部、使った」
私はカッとなりました。「なんで勝手に人の口座からお金を下ろすの!?泥棒だよ!」私の怒鳴り声に、母が慌てて部屋に入ってきました。
「お母さん!この人、私の奨学金を勝手に使ったの!大学に行けなくなる!」
母は青ざめて兄を見ました。「本当なの!?」
兄は俯いたまま、「ごめんなさい」とだけ繰り返します。
「何に使ったの?何があったのよ!」私は涙声で詰め寄りました。
私の未来が、兄の勝手な行動で消えてしまったのです。
しかし、兄はただ黙っているだけでした。「返すから。絶対、返すから」と繰り返すだけで、それ以外のことは何も言いませんでした。ただ、顔は苦しそうで、何か重いものを一人で抱え込んでいるのは分かりました。
結局、その夜は兄が何も話さないまま終わりました。
訪ねてきたのは…
数日後、兄は家から姿を消しました。残されていたのは、封筒に入った手紙と、少額の貯金でした。
手紙には、私への謝罪と、「どうしても言えない理由がある」ということだけが書かれていました。
絶望に暮れていた私のもとに、兄の友人だという人が訪ねてきました。彼は事情を知っているようでした。
「妹さん、本当にごめんなさい。実は、あなたの兄は…」
彼の話を聞いて、私は戦慄しました。
兄は、以前まで勤めていた会社の先輩から、「難病の治療費」という嘘を信じ込まされ、闇金融から借りたお金を肩代わりしてしまっていたのです。
先輩は最初から返す気がなく、返済に追い詰められた兄は、私の奨学金に手を出してしまったということでした。
兄が黙っていたのは、私や両親に心配をかけたくないという、兄なりの優しさだったようです。
兄の友人は、兄が残した貯金に、周囲の友人たちが集めたお金を加えて持ってきてくれました。
全額には程遠かったですが、その優しさに涙が止まりませんでした。
その後、幸いにも母の親戚から支援を受けられることになり、私は無事に大学に入学することができました。
兄はしばらく連絡が途絶えていましたが、数年後、真面目な仕事に就き、少しずつ私にお金を返し続けてくれています。
全額は返済されていませんが、兄が私を裏切ったのではなく、「誰かを助けたいという気持ちを利用されてしまった」のだと分かった今、私は兄を責める気持ちにはなっていません。
あの事件は、私たち兄妹にとって、信頼と絆の重さを知る、苦い教訓となりました。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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