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「私たちの場所よ!」運動会で場所取り禁止を無視する家族。まさかの言い訳にその場が凍りつく【短編小説】
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ルールを守らない家族
娘が小学校に入って初めての運動会。
その日は、朝から独特の緊張感が漂っていました。
というのも、通達が何度もあったからです。
「前日や早朝からの場所取りは、近隣のご迷惑になるため固く禁止します」と、学校からの書面には太字で書かれていました。
「ルールは守らないとね」と夫と話し合い、私たちは開門時間の少し前に学校に着くように家を出ました。
校門をくぐり、グラウンドへ向かうと……。
「え?」
思わず声が出ました。
保護者席の一番前、誰もが狙うであろう特等席に、不自然に大きな青いレジャーシートがすでに広げられています。
そこには、父親らしき男性、母親らしき女性、そして小さな弟らしき男の子二人の家族が、すでにお茶を飲んでくつろいでいました。
まだ開門したばかりで、ほとんどの保護者が「どこにしようか」と見渡している中、その光景は異様でした。
「あれ……ダメだよね?」 「開門ダッシュしたのかな……」
周りの保護者たちも、遠巻きにその家族を見て、ひそひそと話し合っています。明らかにルール違反です。
その不穏な空気に気づいたのか、巡回していた先生がその家族のもとへ早足で歩み寄りました。
「あの、すみません。こちらでの事前の場所取りは禁止となっているのですが……。シートを畳んでいただけますか?」
先生が、できるだけ穏やかな声で注意します。
すると、母親らしき女性が、持っていた水筒をドン、と大きな音を立ててシートに置き、先生をキッと睨みつけました。
驚きの言い訳
「は? 私たちの場所よ!」
……え? 今、なんと言ったのでしょうか。
先生も一瞬言葉に詰まりましたが、努めて冷静に「いえ、ですから、学校のルールで、開門前の場所取りは……」と言いかけます。
すると、その女性は、私たちの耳を疑うような言葉を続けたのです。
「私たち、昨日の夜からここにいるんですけど? ずっと待ってたんだから、ここが私たちの場所になるのは当然でしょ!」
「よる……から?」
私の口から漏れた言葉は、周りの保護者たちの「ええ……」というどよめきに重なりました。
その場が、シン……と凍りつきました。
先生も、周りにいた保護者たちも、全員が唖然としています。
「ルール違反」というレベルを遥かに超えた、まさかの言い訳に、誰もが言葉を失ったのです。
結局、その家族は教頭先生まで出てきて厳しく説得され、最後まで何かブツブツと文句を言いながらも、渋々シートを畳んで後ろの方へ移動していきました。
運動会が始まる前から、ものすごく疲れてしまった出来事です。ルールは、みんなが気持ちよく過ごすためにあるもの。それを改めて考えさせられました。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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