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旅行先のホテルで彼氏のスマホに届いた着信。画面に映し出された名前が関係を終わらせた【短編小説】

幸せの絶頂から突き落とされた一瞬
蓮と付き合って一年。私たちは記念日を祝うため、少し奮発して温泉旅館に来ていました。窓の外には燃えるような紅葉が広がり、テーブルには彩り豊かなお料理が並ぶ。
この幸せがずっと続けばいいな、なんて柄にもなく考えてしまうほど、私は満ち足りた気持ちでいました。
蓮が「飲み物、買ってくるね」と席を立った、その時です。
テーブルの上に置かれた彼のスマートフォンが、静かに画面を光らせました。
「ブブッ…」
控えめなバイブレーション音に、私は無意識に視線を向けます。
そこに表示されていた名前に、心臓が凍りつくような衝撃を受けました。
涙は流さない、私の決断
『由香♡』
それは、何でも話せる、私のたった一人の親友の名前でした。ただの友達相手なら、名前にハートマークなんてつけませんよね。蓮は慌てて戻ってきてスマホを掴みましたが、もう手遅れです。私の表情が全てを物語っていたのでしょう。
「ち、違うんだ翠!これは…」
「何が違うの?」
動揺する蓮とは対照的に、私の心は不思議なくらい冷静でした。そういえば、最近二人の距離が妙に近かった気がします。
私が由香との電話で旅行の話をした時、蓮の耳がピクッと動いたのを思い出しました。
三人でいる時の、私だけが知らない二人だけの空気感。点と点が線でつながっていく感覚でした。
「私、もう帰るね」
私は静かに席を立ち、バッグから財布を取り出すと、宿泊費の半額をテーブルに置きました。
「記念日旅行、楽しかったよ。一人で満喫してね」
引き留めようとする蓮の声を背に、私は部屋を出ます。
涙は一滴も出ませんでした。裏切られた悲しみよりも、くだらない二人をまとめて捨てられる清々しさの方が、ずっと、ずっと大きかったのです。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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