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「共用廊下に水を流すな」と怒鳴られた私。数分後、植木鉢の水が溢れていたのは相手の家だった【短編小説】

共用廊下に水を流すなと怒鳴られた私数分後植木鉢の水が溢れていたのは相手の家だった短編小説

マンションのルールに厳しい隣人

私の名前は由美(ゆみ)です。
私が住むマンションは、住人同士のルールに少し厳しいところがありました。
特に、私の隣の部屋に住む鈴木さんは、共用部分の使い方に人一倍厳しいことで有名でした。

ある日の午後、ベランダで育てている観葉植物に水をやり終え、空になったじょうろを持って部屋に戻ろうとした時のことです。
うっかり手を滑らせ、じょうろの先から残っていた数滴の水が、廊下にぽたぽたと落ちてしまいました。

(あ、しまった)

すぐに部屋から雑巾を持ってきて拭こう。そう思った瞬間でした。
「おい、君!廊下を濡らすんじゃない!」

隣の部屋のドアが勢いよく開き、鈴木さんが血相を変えて飛び出してきました。
「すみません、ほんの少しで…すぐに拭きます」

「少しでもダメなものはダメなんだ!他の人が滑ったらどうするんだ!常識だろう!」

鈴木さんは、まるで大事件でも起きたかのように私を怒鳴りつけます。
あまりの剣幕に、私はただ「申し訳ありません…」と謝り、急いで床を拭くことしかできませんでした。

部屋に戻り、理不尽な怒られ方に少し落ち込んでいると、数分後、廊下から水の流れるような音が聞こえてきました。
(なんだろう…?)

水浸しの原因は…

気になってそっとドアを開けてみると、私は目を疑いました。
さっき私が拭いた場所よりもずっと大きな水たまりが、廊下に広がっていたのです。
そしてその水は、明らかに鈴木さんの部屋のドアの下から流れ出てきていました。

呆然としていると、ガチャリ、と鈴木さんの部屋のドアが開きました。
どうやら彼も、廊下の異変に気づいたようです。
水たまりの先に立つ私と、自分の部屋から水が溢れ出している惨状を交互に見て、鈴木さんは顔を真っ赤にさせました。

水の原因は、彼の玄関先に置かれた大きな植木鉢でした。
受け皿から溢れた水が、じわじわと廊下へと流れ出していたのです。
あれだけ私を「常識がない」と怒鳴りつけた本人が、廊下を水浸しにしていたなんて。

「あ、いや、これは…」

しどろもどろになる鈴木さん。私は何も言わず、ただ静かに会釈して自分の部屋のドアを閉めました。
厳しく他人を指摘する人ほど、自分の足元は見えていないのかもしれないな、とそんなことを考えていました。

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

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