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ワンオペで倒れた私。→夫の第一声は「今日の晩飯は?」だった。もう、何もかも限界だ【短編小説】

「今日のご飯は何?」
倒れた私に、夫のタカシがかけた第一声は、その一言だった。夕食の準備をしている最中、私は突然のめまいと吐き気に襲われ、その場に崩れ落ちた。
異変に気づいたタカシが駆け寄ってきたので、一瞬「大丈夫?」と心配してくれるかと思ったが、彼の口から出たのは、あまりにも身勝手な言葉だった。
結婚して3年、出産してからはずっとワンオペ育児だった。
タカシは「仕事が忙しいから」と家事育児には一切ノータッチ。朝早く出勤し、夜遅く帰宅する彼の生活を支えるため、私は自分の時間をすべて犠牲にしてきた。
そんな私の苦労は、彼には全く届いていなかったのだ。
崩壊した夫婦関係と、私の決意
私の体調不良を心配するどころか、自分のことしか考えないタカシの言葉に、私は怒りよりも先に、虚しさで胸がいっぱいになった。
もう、何もかも限界だ。これまで、タカシに代わって私が家事育児を完璧にこなせば、いつか「ありがとう」と言ってくれる日が来ると信じていた。でも、それは私のただの幻想だった。
私は、もう彼に期待することをやめようと決めた。彼の人生を支えるために、私の人生を犠牲にする必要はない。私は、この崩壊した夫婦関係を終わらせることを決意した。
夫に告げた、最後の言葉
「タカシ、別れてほしいの」
私がそう告げると、タカシは戸惑いと怒りが入り混じった顔で言った。「なんでだよ。俺が何かしたか?」。彼は、自分の何が悪かったのか、本当に分かっていなかったのだ。
「…あなたが、倒れた私に『今日のご飯は?』って聞いた日、私の心は完全に壊れた」
私の言葉に、タカシは一瞬言葉を失った。そして、こう言った。
「そんなことで?大げさだろ」
彼の言葉を聞いて、私はこの3年間の苦労が、彼にとって「そんなこと」でしかなかったことを知った。
私は、もう何も言わなかった。ただ、静かに彼の目を見て、別れを告げた。
あの日の絶望が、私に本当の幸せを見つけるための勇気をくれたのだ。私は、もう誰かのために生きるのではなく、私自身の人生を生きることを決めた。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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