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会社を辞めて世界一周→孤独と不安で挫折寸前。しかし、趣味のお絵描きが、私の人生を変えた【短編小説】

会社を辞めて世界一周→孤独と不安で挫折寸前しかし趣味のお絵描きが私の人生を変えた短編小説

 

「何かを変えたい」

そんな漠然とした思いで、私は会社を辞めて世界一周の旅に出た。退職金と貯金をはたいて始めた旅は、SNSで見るようなキラキラしたものではなかった。

慣れない土地、言葉の壁、そして日に日に減っていく旅費。この旅も失敗に終わるのかもしれない。

そんな孤独と不安で胸がいっぱいになったとき、私は幼い頃から好きだった「お絵描き」を再開した。

安物のスケッチブックと色鉛筆を買い、カフェで、公園で、ひたすら絵を描き続けた。

描いたのは、異国の街並みや、優しい笑顔で話しかけてくれた人々。言葉は通じなくても、心が通い合った瞬間を、私は絵に残していった。

誰に見せるわけでもなく、ただ自分の心を落ち着かせるために。

 

旅の途中で見つけた、もう一つの自分

旅の途中で描いた絵を、私は時々SNSに投稿するようになった。

特別なことは何も書かず、ただ「今日のスケッチ」と一言添えるだけ。

ところが、フォロワーから意外な反響があったのです。「温かい絵ですね」「見ていると心が癒されます」というコメントが殺到した。

私は、自分の絵が誰かの心を温めていることを知り、初めてこの旅の意味を見つけられた気がしました。

それまでの私は、旅先で「何を成し遂げるか」ばかりを考えていました。しかし、本当に大切なのは、自分が心から楽しいと思えることに没頭することだったのです。

 

一枚の絵から始まった、予想外の運命

ある日、一通のDMが届いた。それは、有名出版社の編集者からだった。

「あなたの絵に心打たれました。ぜひ旅のイラストエッセイを出版しませんか?」

にわかには信じられなかった。ただの趣味のお絵描きが、まさか本になるなんて。

戸惑いながらも、私はこのチャンスに挑戦することにした。出版された本は、瞬く間にベストセラーになった。

旅の壮大な景色ではなく、その裏側にある人々の日常や温かさを描いた私の絵は、多くの人の共感を呼んだ。

会社を辞めた時の不安は、もうどこにもない。あの頃の私は、他人の目を気にして、華やかなキャリアばかりを追い求めていたけれど、本当に私の人生を豊かにしてくれたのは、旅先で出会った人々と、一枚の絵を描く時間だった。

この旅は、私に本当の幸せを見つけるための、最高のプレゼントだったのだ。

 

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

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