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夫が”指輪なくした”と平然と言った1週間後、私はベッド下で”本当の答え”を見つけた【短編小説】

夫が指輪なくしたと平然と言った1週間後私はベッド下で本当の答えを見つけた短編小説

 

結婚指輪をなくした…まさかの展開に

「え、ごめん。指輪、なくした」

夫・翔太は、まるで“飲み会の帰りに財布落とした”くらいのテンションで、そう言った。

私たちは結婚してまだ1年。
指輪は、式の費用を削ってまで選んだ、ちょっと無理して買ったペアリングだった。
18金。細めのデザイン。内側にはお互いのイニシャルと日付。

それを、彼は“うっかり”落としたらしい。

 

代わりに買ったのは5000円の指輪

「で、代わりに買っといた。ネットで5000円のやつ」
翌日、彼がポストから取り出してきた小箱には、
明らかに質の違うステンレス製の指輪が入っていた。
サイズも若干合ってない。
何より――そこに“思い出”なんて、ひとつも詰まってない。

「だって、指輪って形が大事なんでしょ?」

そんなこと、誰が言った。

「思い出」は、買い直せないって知ってた?
私たちが最初の指輪を買ったのは、付き合って5年目の記念日。
銀座の小さなジュエリー店。
予算は超えていたけど、翔太が「一生に一度のことだから」と言ってくれて選んだもの。

あの時のまなざしも、試着のドキドキも、店員さんが言ってた「10年後も着けていられるデザインですよ」って言葉も、全部が私の中では“宝物”だった。

それを、勝手に失くして、勝手にネットで買い直して、
「ごめんね〜」で済ませる。

この人、本当に私と“結婚した”んだっけ。

私の心は、静かに冷えた
怒る気力もなかった。
彼のことを責めたら、逆ギレされる未来が目に浮かんだ。

「ごめん、でもこれから大事にするから」

その言葉すら、私の耳には届かなかった。

―でも、どんでん返しは、1週間後にやってきた。 

週末、私は寝室の掃除をしていた。
ベッド下の収納を整理していると、小さな紙袋が出てきた。
中には、黒い箱――最初の結婚指輪が、ちゃんと入っていた。

一緒に、折りたたまれたレシートとメモもあった。

「磨き直しに出してます 結婚1周年に渡したくて」
※ついでにサプライズでサブリング買って、バレ防止に使ってるだけ
by 翔太

指が震えた。
サブリング――あの安いやつは、“カモフラージュ”だった。

確かに最近、翔太はスマホをよく見ていた。
何か隠してる様子にも見えた。
でもそれが、「指輪のリペア状況確認」だったなんて。

あの日の「なくした」は、演技だった?
たぶん、翔太なりに“気づかれないサプライズ”を狙ってたんだと思う。
でも、私にはそれがただの“雑な嘘”にしか見えなかった。

思い出を軽んじられたように感じて、勝手に心を閉ざしていた。
自分だけが“正解”を持っている気でいた。
でも――

翔太はちゃんと、あのときの気持ちを大事にしていた。

1週間後、翔太が言った
「結婚記念日、空けといてね。渡したいものがあるんだ」

私は笑ってうなずいた。

「もう、見ちゃったけどね」

「うそ!?マジで!?最悪だ〜〜〜!」

翔太が顔を真っ赤にしてソファに崩れ落ちた。

サプライズは失敗だったかもしれない。
でも、私の中で何かが“もう一度”始まり直すような、そんな温かさがあった。

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