藤井麻未

2015.03.13(Fri)

モロッコのおうち、リヤドで体験するモロッカンクッキング ~モロッコ フェズ~

写真1

旅先で観光地を周ったりショッピングをするだけでなく、何か面白い体験をしてみたい、そういう方にオススメなのが料理教室です。
観光客も参加できる料理教室が様々な場所で開かれています。南仏マルセイユでの本格ブイヤベース教室、アテネでのギリシャ料理教室、モロッコでのタジン鍋教室など……。現地で採れる食材を、その土地特有の調理器具やキッチンで料理をし、完成したものはもちろん皆で一緒に頂きます。言葉が苦手でも案外大丈夫。見よう見まねで食材を切ったり、焼いたり、煮たり、美味しいものを囲めば言葉がわからなくとも不思議とコミュニケーションがとれるものです。

さて、今回私が参加してきたのはモロッコ北部フェズでのタジン鍋教室。教室はモロッコの伝統的な邸宅、リヤドのキッチンです。お世話になったのは入り組んだ路地の一角にひっそりと佇む、家族経営のリヤド・ブージュルード。今回の参加者は私だけだったのでリヤドの愉快な家族に一人加えてもらったかのようなアットホームさでした。

午前10時に料理担当のイプティサムちゃんと待合わせると、食材を買い出すところから始まります。フェズの台所、活気ある朝のスークへと足を延ばし本日の食材を調達します。メニューはチキンタジンとモロッカンサラダ。同じ野菜でも日本のものとは大きさも形も違うものが並び、店主との交渉や食材選びを体験できるのも大きな魅力。その土地の食文化を知るには、市場に行くのが最も手っ取り早いのです。


写真2

さて、食材を買ってリヤドへ戻ってくると早速キッチンへ。モロッコでは、野菜を切る時まな板をほとんど使いません。リンゴの皮をむくように、小さな果物ナイフを器用に使って野菜を切っていきます。ニンニク、タマネギ、パプリカ、コリアンダー、オリーブ、イタリアンパセリ、インゲンを適度な大きさに切り、鶏胸肉の上にのせます。モロッコには様々なスパイスがありますが、クミン、パプリカパウダー、ターメリック、ジンジャーパウダー、塩コショウで味付けをし、隠し味はレモンピールの塩漬け。これが味のアクセントになります。タジン鍋だけでは煮込むのに時間がかかるので、今回は一部圧力鍋を使いました。オリーブオイルを少々垂らし、水は一切使わず食材の水分だけで煮込んでいきます。


写真3

タジンを煮込んでいる間に作る一品は、モロッカンサラダ。色々な種類がありますが、今回はナスを使います。まず、油で揚げたナスを潰してペースト状に。そして粗く潰したトマトとみじん切りの玉葱、ニンニクのペーストを加え炒め合わせます。レモン汁、塩コショウとパプリカパウダーで味を調えれば出来上がり。飾りつけにイタリアンパセリを散らします。


写真4

1時間ほどでタジンが煮込みあがると、いよいよ料理を囲んでのランチタイム。イプティサムちゃん、お姉さんのファティマさん、そしてファティマさんの御主人でリヤドのオーナー、ヴィンセントさんと私の4人での食事です。チキンタジンは、フォークを刺すと鶏肉がホロホロとほぐれてしまうくらいに柔らかく、ふんだんに使われた野菜の旨味と数種のスパイスが相まってクセになる美味しさ。隠し味のレモンピールがよく効いています。


写真5


写真6

ナスのモロッカンサラダはディップのような感覚で、ホブスというパンにつけて食べます。ホブスは外側がカリッと、中はしっとりしていて、しっかりとした穀物の味わい。オリーブオイルのコクと、ニンニクの効いたナスのモロッカンサラダの相性はバッチリです。人参の南蛮漬けのような付け合わせも食べさせてもらいました。


写真7

ランチが終わるとモロッコ名物、ミントティーで食後の団らん。こうして3時間ほどリヤドでゆったりと過ごしたのでした。

家庭に入って食事を一緒にするというのは、実はとてもプライベートな行為のように思います。現地の人と同じものを囲み、その土地の習慣にのっとって同じように食べる。そうすることで、彼らともっと心を通わせることができる気がするのです。いつもの旅にほんの少しスパイスが欲しい。そう思った時にはぜひとも、料理教室に参加してみて下さい。


OTHER ARTICLES

Other Articles

おすすめ記事

RECOMMEND

Recommend