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「アルコール飲み放題なんだから飲めよ!」と強制する先輩。注文履歴を見て気づいた過ちとは【短編小説】

「飲め」と迫る先輩の圧力
その日の会社飲み会は、駅前の居酒屋で「アルコール飲み放題」のコースでした。私自身は、お酒は飲めなくはないですが、自分のペースでゆっくり楽しみたいタイプ。
乾杯のビールを一口飲んだところで、隣の席の先輩が私のグラスを覗き込んできました。
「あれ、全然減ってないじゃん!アルコール飲み放題なんだから飲めよ!」
先輩はそう言って、店員さんに「すみません、この子にもカシスオレンジ!」と勝手に注文してしまいました。
「あ、ありがとうございます。でも、自分のペースで…」
私が遠慮がちに言うと、先輩は「もったいないだろ!」と声を大きくしました。「会社がお金を出してくれてるんだ。飲めるだけ飲まないと損だ!」それが先輩の持論のようでした。
その後も、私のグラスが空くたびに、先輩は「次は?」「遠慮するなよ!」と矢継ぎ早に次の飲み物を勧めようとします。私は笑顔でかわしつつも、だんだん気が重くなってきました。
飲み放題が、いつの間にか「飲まないといけない」というプレッシャーに変わってしまったのです。私は早々にウーロン茶に切り替え、ひたすらやり過ごすことに集中していました。
タブレットが明かした衝撃の真実
飲み会が中盤に差し掛かった頃です。先輩はすっかり上機嫌で、「いやー、ここのカクテルうまいわ!飲みやすい!」と、同じ種類のカラフルなカクテルを何杯もおかわりしています。そして、顔を少し赤くしながら私に言いました。
「だからお前も飲めって!これ、マジでうまいから!」
先輩があまりに勧めるので、ふと「何をそんなに飲んでいるんだろう」と気になりました。テーブルに置かれていた注文用のタブレット端末が目に入ります。何気なく「注文履歴」のページを開いてみました。
そこには、先輩が注文した履歴がずらりと並んでいました。そして、先輩が「うまい!」と絶賛し、私にもしきりに勧めてきたカクテルの名前の横に、信じられない文字があったのです。
「ノンアルコール」
どうやら先輩は、飲み放題メニューの最初のページにあった「おすすめノンアルコールカクテル特集」のページから、ずっと注文し続けていたようでした。
それに全く気づかず、「酔ってきたー!」と盛り上がり、アルコールを飲んでいない私に「飲めよ!」と絡んでいたのです。
私はそっとタブレットを閉じました。先輩は「あー、酔った酔った!」と楽しそうです。その真っ赤な顔は、アルコールのせいではなく、ただテンションが上がっているだけなのだと思うと、なんだかおかしくなってきました。
先輩の勘違いを指摘するのは、この場の楽しい雰囲気がもう少し盛り上がってからにしようと決め、私は自分のウーロン茶をゆっくりと飲み干しました。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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