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「なにかあったの?」なぜか急に優しくなった夫。跡を追って気づいた、理由は隣の家にあった…【短編小説】
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口数が少ない夫の変化
私の夫は、昔から口数が少なく、優しい言葉をかけるタイプではありませんでした。
それが当たり前の日常。私が夕食の準備をしていても、彼はソファでスマホを見ているだけ。
会話はほとんどありません。
でもある日の夜、違ったのです。
「……大丈夫か?」
ソファに座る彼が、珍しく私に声をかけてきました。
いつもは帰宅しても「ただいま」と「飯」くらいしか言わない人なのに。
「え? 何が?」
「いや、疲れてるんじゃないかと思って。なにかあったの?」
私は、持っていたお皿を落としそうになりました。
「なにかあったの?」
は、こっちのセリフです。
それから数日。夫は明らかにおかしくなりました。
私がお風呂に入っていると「お茶、淹れといたぞ」とリビングから声がしたり、私がくしゃみをすると「風邪か?」とこちらを見たり。
小さなことですが、今までの彼からは考えられないことばかりです。
(……おかしい)
正直、最初は「何かやましいことでもあるのでは?」と疑いました。浮気?
でも、様子が変なだけで、スマホを隠したり、帰りが遅くなったりするわけではありません。
夫の憧れ
そして、ある週末の午後。
夫がそわそわしながら上着を羽織りました。
「ちょっと出てくる」
「どこへ?」
「……コンビニだ」
でも、彼が手に持っていたのは財布だけではありません。
なぜか、うちの棚にずっとあった新品のタオルと、デパ地下で買うような高級そうなお菓子の箱。
(絶対にコンビニじゃない)
私はそっとカーテンの隙間から、彼がどこへ行くのか見守りました。
彼は、アパートの階段を降りて、コンビニとは逆の方向に歩き出します。
そして、彼がピンポンを押したのは……隣の家でした。
数分後、彼は隣の家から出てきました。手には、なぜかタッパーを持っています。
そして、家に戻ろうとしたところで、窓から見ている私と目が合いました。
彼はとても気まずそうに、家に入ってきました。
「……あのさ」
「うん」
「……昨日、車庫入れの時、隣の家の自転車、倒しちゃって」
「えっ!」
「で、さっき謝りに行ったら、全然怒ってなくて。むしろ『お互い様ですよ』って、これくれた」
彼が差し出したタッパーには、美味しそうな煮物が入っていました。
「……なんか、ああいう夫婦もいいなって、思っただけだ」
夫の突然の優しさは、罪悪感と、そして、優しくて仲の良い「隣の家」への、ちょっとした憧れから来ていたのでした。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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