Share
ママ友「聞いた？あの家のこと」と教室前でヒソヒソ話。私が近づいた瞬間、会話が止まったワケ【短編小説】
INDEX
教室の前のヒソヒソ話
あれは、娘の授業参観が終わった、少し蒸し暑い日の午後でした。
保護者たちが続々と教室から出てきて、廊下は一気に賑やかになりました。私も娘に手を振り、教室を後にしようとした時のことです。
教室の出口近くで、顔見知りのママ友たちが三人、顔を寄せ合っているのが見えました。彼女たちは、いつも明るく挨拶を交わす仲です。
「ねえ、聞いた？あの家のこと…」
一人の声が、少しだけ大きくなりました。何か深刻な話をしているような、潜めた声です。
（あの家…？）
どこの家のことだろう、と特別気にするでもなく、私は「お疲れ様」と声をかけようと、彼女たちに一歩近づきました。
その瞬間です。
まるで時間が止まったかのように、三人の会話がピタリと途切れました。そして、三人ともが少し慌たたような、気まずそうな表情で私を見たのです。
「あ…こんにちは。お疲れ様」
中心にいたママ友が、ぎこちない笑顔で言いました。他の二人も、曖昧に会釈するだけです。
（え…？ なに…？）
さっきまでの「あの家」という言葉が、頭の中で繰り返されます。
まさか、「あの家」って、ウチのこと…？
私が何か、変な噂でも立てられているのでしょうか。そういえば最近、夫の帰りが遅いことが多いけど、何か誤解されている…？
一瞬で、頭の中にありとあらゆる不安が駆け巡りました。
「お、お疲れ様です…」
私はそう返すのが精一杯で、足早にその場を立ち去りました。背中に刺さる視線が、やけに痛く感じられました。
「あの家」の正体
その日から数日、私はモヤモヤした気持ちを抱えていました。あの三人と顔を合わせるのが、少し怖くなっていました。
そんなある週末、娘が「〇〇ちゃん（あのママ友の一人の娘さん）のママから！」と、可愛くラッピングされた小さな箱を持って帰ってきました。
中を開けると、手作りのクッキーと、一枚のカードが入っていました。
『いつもありがとう。この間はごめんね！』
意味がわからず首を傾げていると、そのママ友からメッセージが届きました。
「この間のヒソコソ話、驚かせちゃってごめんね！」
メッセージには、あの日の真相が書かれていました。
なんと、彼女たちは、私がいつも子供会の役員や行事の手伝いを引き受けているお礼に、ささやかな「お疲れ様会」をサプライズで開こうと計画してくれていたのです。
では、「あの家」とは何だったのか。
それは、最近オープンした、お洒落な一軒家をまるごと借りられるレンタルハウスのことでした。キッチンも立派で、皆で料理もできると評判の場所です。
「公民館より、『あの家』を借りてパーティーした方が喜ぶんじゃない？」
「でも、『あの家』って結構、お高いんでしょ？」
そんな相談をしていたというのです。
私が近づいたのは、ちょうど「どうしよう、予算間に合うかな…」と悩んでいたタイミングで、サプライズ計画そのものがバレないようにと、慌てて話を止めた…というのが真相でした。
「あの家」が「我が家」のことだと本気で悩み、疑心暗鬼になっていた自分が、急に恥ずかしくなりました。 同時に、皆の温かい気持ちが胸に広がり、少し泣きそうになったのは、ここだけの話です。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
心に響くストーリーをもっと読みたい方
【他のおすすめ短編小説を見る】
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
友だち登録＆アンケート回答で「Amazonギフトカード」など好きな商品を選べるギフトを毎月抽選で５名様にプレゼント！
＼ 今すぐ応募する ／
Gallery
SHARE !
この記事をシェアする
Follow us !
GLAM公式SNSをフォローする
Feature
おすすめ記事
