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「俺のレベルじゃない」と別れた彼。→新しい肩書を見た瞬間、連絡してきた【短編小説】

「美咲は、俺のレベルじゃない」
彼氏のタツヤは、そう言って私を振った。
付き合って2年。当時の私は、ただの派遣社員だった。一方の彼は、有名企業に勤めるエリート。
彼は「美咲といると、将来が見えない」と、私を馬鹿にするような言葉を言い放った。
彼のプライドと、私への劣等感がない交ぜになった、あまりにも身勝手な言葉だった。彼の言葉は、私の心を深くえぐり、私は絶望の淵に突き落とされた。
彼の言葉が私を変えた
失恋の痛みと、彼の言葉への怒り。その二つが、私を突き動かす原動力になった。
彼の言葉を見返してやる。そして、私には「彼のレベル」を超えることができるということを証明してやる。
そう決意した私は、これまで以上に仕事に打ち込み始めた。
それまで漠然とこなしていた仕事を、私は真剣に取り組むようになった。会社の業務とは別に、Webデザインの勉強を始め、資格も取得した。
休日も自己啓発に費やし、気づけば私は、会社の新規事業のプロジェクトリーダーに抜擢されていた。
そして1年後。私は、彼が勤めていた会社からヘッドハンティングされ、彼の会社に転職することになった。
【衝撃】彼が、私に送ってきたメッセージ
新しい会社での初出勤の日。私は、自分のSNSのプロフィールに、新しい肩書を書き加えた。「〇〇社 新規事業開発部 プロジェクトリーダー」。
すると、その投稿を見たタツヤから、すぐにLINEのメッセージが届いた。
「美咲、久しぶり。元気?最近どうしてる?」
それは、彼が私を捨てて以来、初めての連絡だった。私は、彼のメッセージを既読スルーした。
そして、彼のSNSを見てみた。彼のプロフィールは、何も変わっていなかった。彼は、まだあの頃の自分から一歩も進んでいなかったのだ。
私は、もう彼を恨んではいない。むしろ、感謝している。
彼の存在がなければ、私は自分の人生を真剣に考えることもなかっただろう。
彼の「俺のレベルじゃない」という言葉は、私に本当の強さを教えてくれたのだ。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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