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14歳で単身上京、パニック障害、恩師の急逝を乗り越えて。メジャーリーガーを支えるメンタルトレーナー・兼下真由子が体現する「全部できる」
INDEX
起業から3か月後に、志を共にした恩師が急逝
トップアスリートを支えたいという想い

アプリ開発に協力するさまざまな競技のトップアスリートと仕事をする中で、兼下さんは毎回試合で実力を発揮して活躍し続けることの難しさを知ります。そして自身のパニック障害の経験も踏まえ、最終的にモノを言うのはメンタルなのだと思うようになりました。
「当時交際していた人もトップアスリートで、その努力やストイックさを目の当たりにしていました。それで、アスリートのメンタルを支えたいと考え始めました」
兼下さんのパニック障害は、コーチングやカウンセリングでは解決しませんでした。だからアスリートにも、対話やアドバイスとは違うアプローチが必要だと考えました。
「ないなら自分で作る」という決断
「メンタルを整えるには瞑想がカギになると確信していたので、そうしたアスリート向けのメソッドを探しましたが、日本にも海外にも見当たりませんでした」
ないなら自分でつくるしかないと考えた兼下さんは、学びを深めるために日本のヨガと瞑想のレジェンド的な存在だった中島正明氏に弟子入りします。中島氏の瞑想を深堀りしてアスリート向けのメソッドをつくる構想を本人に伝え、意気投合。2021年4月に共同で会社を設立しました。ところがその3カ月後、中島氏が急逝します。
突然訪れた恩師との別れ
「サービスローンチに向けてホームページや教科書を作ったりして、2人で懸命に取り組んでいた準備が整った矢先のことで、ショックでした。当初は知名度のある中島先生が表に出て私は裏方に徹する予定だったので、会社を続けるべきかどうかずいぶん悩みました」
畳む方がラクだったはずですが、中島氏の想いや入社したばかりの社員のことを考え、兼下さんは続ける道を選びました。「今思うと、事業化に向けて情熱を燃やしていた私に、この試練がさらに火を点けたように思います」と振り返ります。
悔しさをエネルギーに変えて事業にまい進
20歳の挫折が今も原動力

兼下さんがパニック障害に苦しんでいるとき、大きな助けとなったヨガ。その要素でもある瞑想や呼吸法を活かした独自メソッドは、どういった考え方なのでしょうか。
「WINメディテーション(R)のWINは勝利のWIN。アスリートの目的は勝つことですから。アスリートじゃない方々にとっては自己実現を叶えるもの、なりたい自分になるための瞑想メソッドです。行動は思考に引っ張られるので、失敗をイメージすると本当に失敗してしまいます。逆に、なりたい自分を想像すれば理想の自分になれるというわけです。脳の仕組みを活かした考え方で、この脳の働きについては明確なエビデンスがあります」
勝利の「WIN」を冠した名称に、兼下さんのひたむきな生き方が感じられますよね。どんな思いで事業に取り組まれているのでしょうか。
「根底にあるのは、20歳のときに経験した悔しさ。あのときステージ上でいいパフォーマンスをできていたらもっと高みに行けたのに、という気持ち。人生って1回きりで、どんなに戻ってやり直したいと願っても絶対に戻れません。私のように悔しい思いをする人を減らしたくて事業をやっています」
8歳の頃から変わらない「人を喜ばせたい」気持ち
厳しい世界でメンタルを崩した経験があるからこそ、トップアスリートや経営者など孤独に戦う人々に寄り添えるのでしょう。そして、自身が確立した瞑想メソッドによって救われた人の笑顔や感謝の言葉をモチベーションとしています。
「原点は、8歳のときに私の歌を聴いて泣いてくれたおじいちゃん。あんな風に人を喜ばせたいという気持ちがずっとあって。毎日行うセッションでも、効果を得られた喜びから多くの人が涙するんですよ。単純に、人の役に立てるのはうれしいですね」
被爆3世として受け継いだ価値観
さらに、幼少期から学んできた平和学習の影響も大きいと話します。兼下さんは広島県出身。祖父母4人が被爆者で、両親も被爆手帳を所持する被爆3世です。
「戦争では、生きたくても生きられなかった人がたくさんいました。生きているなら、今日やれることがあるなら全力でやる。そういう感覚は物心ついたときからあります」
結婚も、出産も、仕事も「全部できる」を体現
「全部できる」を自ら体現する理由

兼下さんは、毎日精力的にメンタルトレーニングのセッションや後進育成に取り組みながら、妻や母として家事や育児にも奮闘しています。結婚や出産を経て、考え方や価値観は変わったのでしょうか。
「結婚・出産する前から、女性としても、事業家としても、母としても“全部できる”というマインドでした。WINメディテーションで“なりたい自分になる”と伝えてきたので、私自身がやって見せるのが一番です。出産したからキャリアがスローダウンするとか、ホルモンバランスが乱れて体調が悪くなるとか、思いません。思わないので、年子の2人を産んで産後1年が経った今もキャリアを重ねていますし、体調も以前と変わりません」
出産はキャリアの終わりじゃない
そう言い切るからこそ、言葉を事実にしていけるのでしょう。講師養成講座で学んだ卒業生にも、子育てをしながらバリバリ働いている女性がたくさんいるそうです。
「出産はキャリアの終わりじゃない。何かを得たからといって別の何かをあきらめなくてもいい。私自身がそう示して、たくさんの人に希望を持ってもらいたいです」
WINメディテーションを世界中に広めることをめざしている兼下さん。「ハリウッド俳優など欧米のVIPにも実践してもらいたいですし、並行して母子をサポートする活動も続けていきたいです」と意欲を見せます。
理想の自分を、まず想像してみる
最後に働く女性たちへのメッセージをお願いすると、温かく力強い言葉が返ってきました。
「妄想や空想でいいので、まず理想の自分を想像してみてください。現実を直視するとできないことや難しいことに意識が行ってしまうので、いったん現実は無視してOK。現状という枠の外にある理想を大事にしてみてください。誰でも、どんな環境でも、なりたい自分になって、自分らしく生きることができますから」
プロフィール・SNS

| 名前 | 兼下真由子 |
| 職業 | メンタルトレーナー |
| 出身地 | 広島県福山市 |
| プロフィール | 1986年生まれ。芸能界で活躍後、会社員を経てメンタルトレーナーに転身。メジャーリーガーなどのトップアスリートをはじめ、経営者や母子など幅広くサポートしている。株式会社WINメディテーションジャパン代表取締役。 |
| 公式HP | https://mayuko-kaneshita.com/ |
| 事業サイト | https://win-medi.com/ |
| @mayu_winzone | |
| X | @mayuko_yogalife |
取材協力:BLACK TERRACE

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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