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「出ている分で終了です!」忙殺される店員の冷たい一言。しかし、諦めきれずに店内を覗き込むと…?

「出ている分で終了です!」忙殺される店員の冷たい一言。しかし、諦めきれずに店内を覗き込むと…?

仕事帰りの出来事

残業明けの重い足を引きずり、駅構内の人気ベーカリーへ足を向けた。

お目当ては、ネットでバズっている「とろける贅沢クリームパン」。

今日という一日を乗り切った自分への慰労には、これしかないと決めていたのだ。

しかし、店内は予想を遥かに超える人だかりだった。

レジカウンターでは、店員さんが目を回すような手つきで袋詰め作業に追われ、次から次へと会計をこなしている。

「あの、クリームパンはまだありますか……?」

人混みの合間を縫って控えめに尋ねてみたが、店員さんは手元から一瞬視線を上げただけだった。

「あ、出ている分で終了です!棚になければ完売ですね!はい、次のお客様ー!」

その凄まじい気迫に気圧され、私は何も言えなくなってしまった。

仕方なく、目についた食パンだけをトレイに乗せて逃げるように会計を済ませた。

「これだけ混んでたら、まあ仕方ないか……」

自分を納得させようとしながら店を出たものの、心残りは消えない。諦めきれないまま、ガラス越しにもう一度店内を覗き込んだその時だった。

レジ奥のラックに、あのクリームパンの特徴である「黄金色のパッケージ」が大量に積まれているのが目に飛び込んできたのだ。

(……待って、あれ絶対クリームパンだろ?)

先ほどの私は、店員さんのピリピリした空気に遠慮して、ろくに確認もせずに引き下がってしまった。

波風を立てまいと「物分かりのいい大人」を演じた自分への情けなさが、ふつふつと湧き上がってくる。

「ここで引き下がったら、明日の仕事中まで引きずるに違いない」

私は腹をくくり、踵を返して再び店のドアを開けた。

勇気をだした結果

「あの、お忙しいところ本当にすみません! さっきのクリームパンの件なんですが……」

今度は、店員さんの作業がふっと途切れたタイミングを見計らい、はっきりとした声で呼びかけた。

店員さんは不思議そうな表情で私を見た。

「あちらの奥のラックに乗っているのって、クリームパンじゃないでしょうか? どうしても今日買って帰りたくて!」

私の言葉に、店員さんは数秒固まった後、ハッとして背後を振り返った。

「…ああっ、本当ですね! 申し訳ありません、先ほど焼き上がった分を店頭に出し忘れておりました!」

店員さんは申し訳なさと恥ずかしさが入り混じったような笑顔を見せ、ホカホカのクリームパンを手際よく袋に詰めてくれた。

「ありがとうございます。勇気を出して聞いてみてよかったです」

帰路につく私の手元からは、パンの温もりと、甘く幸せな香りが立ち上っていた。

相手の状況を慮って身を引くことも、大人の気遣いかもしれない。

けれど、自分の「どうしても」という素直な気持ちを、少しの勇気を出して相手に伝えてみるのも大切なことだ。

帰宅後、まだ温かいクリームパンを口いっぱいに頬張りながら、心のモヤモヤが晴れ渡るのを感じた夜だった。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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GLAM Lifestyle Editorial

編集部

日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。

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