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「夜泣きがうるさいんだけど…」と耳栓をして自分だけ寝る夫。翌朝、夫が謝ってきた理由とは【短編小説】

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
孤独な夜と、夫の「耳栓」
その夜、わが子は火がついたように泣き続けていました。
私は抱っこしたり、あやしたりと必死でしたが、隣で寝ていた夫が突然むくりと起き上がり、不機嫌そうに言い放ったのです。
「ちょっと、夜泣きがうるさくて眠れないんだけど。明日は大事な会議があるんだから、勘弁してくれよ」
そう言うと、夫は引き出しから耳栓を取り出し、私の返事も待たずに耳を塞いで背を向けてしまいました。
遮断された世界でスヤスヤと眠る夫の背中を見て、私は情けなさと怒りで涙がこぼれそうになりました。
「私だって眠りたい。でも、この子を放っておくわけにはいかないのに……」
訪れた、突然の「静寂」
時計の針は深夜2時を回っていました。
絶望的な気持ちで子供をあやしていた時、ふと泣き声が止まったのです。
様子を見ると、子供が床に置いてあった夫の通勤カバンに興味を示していました。
中からガサガサと書類を引き出し、近くに転がっていたマジックで、思いのままに落書きを始めています。
それは夫が「明日の会議で使う」と何度も確認していた、とても重要そうな資料でした。
一瞬、「止めなきゃ」という思いが頭をよぎりました。
でも、あんなに激しかった泣き声が、落書きに集中している間だけはピタリと止んでいるのです。
この穏やかな静寂を壊したくない。
そして何より、耳栓をして自分だけ安眠をむさぼる夫への、ささやかな反撃の気持ちが勝ってしまいました。
私は何も言わず、子供が遊んでるのを、ただ静かに見守ることにしました。
翌朝、スッキリと目覚めた夫は、出勤準備のためにカバンの中を見て顔面蒼白になりました。
「なんだこれ……!?
資料が、資料がめちゃくちゃだ!」
絶望する夫に、私はお茶を飲みながら冷静に言いました。
「夜泣きがひどかったけど、その資料に落書きをしている時だけは静かだったの。耳栓をしていたから、ちっとも気づかなかったのね」
夫はしばらく呆然としていましたが、やがて自分の無責任さにようやく気づいたようです。
「ごめん、俺が自分勝手だった。君に全部押し付けて、耳を塞いで逃げていたよ。本当に申し訳ない……」
真っ黒に塗りつぶされた資料を前に、夫は深々と頭を下げました。
この一件以来、夫は夜泣きを「自分事」として捉えるようになり、今では耳栓を捨てて一緒に育児に向き合ってくれています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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