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留学する私に「絶対に浮気するなよ」と言った彼。数年後、再開すると彼の浮気が発覚したワケ【短編小説】
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本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
留学する私を見送る彼
「絶対に、浮気するなよ。俺は日本でずっと待ってるから」
成田空港の出発ロビー。
彼は私の両肩を強く掴んで、鬼気迫るような真剣な眼差しでそう言いました。
その必死さと少しの嫉妬が混じったような表情に、私は「これほど愛されているんだ」と胸が熱くなったのを今でも鮮明に覚えています。
あれから3年。
私は留学先での数えきれないほどの誘惑を、すべてこの言葉を胸に断ち切ってきました。
「彼が待っていてくれる」「彼を裏切るわけにはいかない」。
その一心で、私は彼との約束を頑なに守り抜いたのです。
帰国して再開すると…
そして帰国の日。
空港まで迎えに来てくれた彼と、そのまま彼のマンションへ向かうことになりました。
「久しぶりだから、部屋がちょっと散らかってるかも」 彼は少しそわそわしていましたが、私は久しぶりに大好きな彼と二人きりになれる喜びで、そんな様子は気にも留めていませんでした。
「手、洗ってくるね」
私は荷物を置き、慣れ親しんだ洗面所へ向かいました。 そこで、違和感に気づいたのです。
鏡の前のコップに、歯ブラシが2本、仲良く並んでいました。
1本は彼のもの。
そしてもう1本は、明らかに女性向けの、ピンク色の可愛らしいデザインのものです。
しかも、新品ではなく、毛先が少し開いた「使い込まれた」ものでした。
ふと横を見ると、棚には私が使わないブランドのメイク落としや、女性用のヘアゴムが無造作に置かれています。
「……ねえ、これ何?」
リビングに戻り、震える声で彼に問い詰めました。
彼は一瞬で顔面蒼白になり、「あ、いや、それは……母さんが泊まりに来てて……」と苦しい言い訳を始めました。
しかし、問い詰め続けると、彼は観念してすべてを白状しました。
私が留学して半年が経った頃から、寂しさに耐えかねて職場の女性と付き合い始め、なんと2年以上もこの部屋で「同棲」していたというのです。
私が帰国すると決まり、慌てて昨日彼女に実家へ帰ってもらったものの、あまりにもその生活が日常になりすぎていて、洗面所の小物を片付けるのをすっかり忘れていた、とのことでした。
「浮気するな」というあの強い言葉。
それは自分が浮気性だからこそ、相手も同じことをするに違いないという「投影」だったのでしょう。
私の純粋な想いを返してほしい。
使い古されたピンクの歯ブラシを見た瞬間、怒りよりも先に、彼への愛情がスッと音を立てて消えていくのを感じました。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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