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「ただのパートは黙ってて!」と見下す若手社員。ところが、若手社員のピンチを救った結果…【短編小説】
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本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
パートを見下す若手社員
久しぶりの社会復帰。
私は現在、ある中堅企業で事務のパートとして働いています。
職場の雰囲気は穏やかで気に入っているのですが、唯一の悩みの種が、ある一人の若手社員さんでした。
彼は有名大学を出たばかりのエリート志向。
「誰にでもできる仕事」と、私たちパートを見下すのが日常茶飯事でした。
私たちが仕事の効率化を提案しても、「パートさんは言われたことだけやってればいいんです。余計な口出しはしないでください」と聞く耳を持ちません。
そんなある日、彼にとって社運をかけた非常に重要なプレゼンテーションの日がやってきました。
朝からピリピリしながら最終資料を作っている彼。
私はお茶を出しながら、ふと彼のモニターを見て違和感を覚えました。
「あの、そこのグラフの数値ですが……」 私が言いかけると、彼はすごい剣幕でこちらを睨みつけ、怒鳴ったのです。
「ああもう、うるさいな! 『ただのパートは黙ってて!』 気が散るんだよ!」
フロア中が静まり返るほどの大声。
私は「失礼しました」と静かに引き下がりました。
ですが、私が見たあのグラフ……単位が一つズレていたのです。
そのまま発表すれば、大恥をかくのは彼。
さらに会社にとっても損失になります。
「放っておこうかな」と一瞬意地悪な気持ちも芽生えましたが、やはり仕事は仕事。私はこっそり、正しいデータに修正した予備資料を作成しておきました。
プレゼン本番
プレゼン開始の15分前。
最終確認をしていた彼が、突然真っ青な顔で立ち尽くしました。
「嘘だろ……数値が全部ズレてる……今からじゃ修正なんて間に合わない……終わった……」 絶望し、頭を抱える彼。そのデスクに、私はスッと一枚のUSBメモリを置きました。
「差し出がましいかと思いましたが、修正版を入れておきました。念のため、使ってください」
彼は信じられないものを見る目で私を見上げましたが、今は背に腹は代えられません。
彼はUSBを握りしめ、「ありがとうございます!」と叫んで会議室へ走っていきました。
結果、プレゼンは大成功。
戻ってきた彼は、私のデスクの前で深々と頭を下げました。
「大変失礼なことを言いました。貴女がいなければ、僕は終わっていました。本当にありがとうございました!」
それ以来、彼は私を「人生の先輩」と呼んで、敬語を使ってくれるようになりました。
実は私、結婚して退職する前は、同業他社でバリバリのプロジェクトリーダーをしていたんです。
PCスキルも資料作りも、彼より少しだけ経験が長かっただけのこと。
「ただのパート」に見えても、誰がどんなスキルを持っているかは分からないもの。
人は見かけや肩書きだけで判断してはいけませんよね。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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