Share
「有給の次の日はみんなにお礼を言えよ」と古い考えを持つ先輩。だが、新人の一言で態度が一変【短編小説】
INDEX

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
古い考えの先輩
久しぶりの有給休暇明け、私は少し重い足取りでオフィスに向かいました。
リフレッシュできたはずなのに、胃がキリキリする理由。
それは、私の職場にいる「古い考えを持つ先輩」の存在です。
先輩は仕事熱心な人ですが、独自の謎ルールを他人に強要するのが玉にキズ。
「休みを取る=周囲への迷惑」という考えが根強く、有給明けには必ずお菓子を配り歩き、一人ひとりに頭を下げることを求めてくるのです。
案の定、デスクに着くなり先輩が近寄ってきました。
「おはよう。昨日は楽しかったみたいだね。でも、社会人として『昨日はすみませんでした』って、みんなに挨拶して回った? 有給取ると誰かに負担がかかるんだから、有給の次の日はみんなにお礼を言えよ」
先輩の圧に押され、私は条件反射で「すみません、すぐに行きます」と腰を浮かせました。
法律で認められた権利を使っただけなのに、まるで悪いことをしたような気分。
この理不尽な空気には、何年経っても慣れません。
その時です。 「えっ、〇〇さん(私)、なんで謝るんですか?」
きょとんとした顔で会話に入ってきたのは、今年入社したばかりの新人くんでした。
彼は私が配ったお土産のクッキーを片手に、悪気のない純粋な瞳で先輩を見つめました。
先輩は眉をひそめて言います。
「君ねぇ、休んだ分、周りがフォローしたんだよ? お礼とお詫びをするのは礼儀だろう」
新人のもっともな一言
すると新人は、不思議そうに首をかしげて、その場の空気を一変させる一言を放ちました。
「でも先輩、それ必要ないですよね?だって、有給は労働者の権利ですよね?権利を使ったのに謝らなきゃいけない空気を作っちゃうと、逆に『休むことは悪いこと』って認めることになりませんか? それって、僕たちが自分たちで職場をブラックにしてるみたいで、なんか不健康じゃないですか?」
さらに彼は続けました。
「お互い様でカバーし合うのがチームなら、『すみません』じゃなくて『リフレッシュできました、今日からまた頑張ります!』で良くないですか?」
時が止まりました。
先輩は顔を真っ赤にして何か言い返そうとしましたが、口をパクパクさせるだけ。
正論すぎる言葉に、反論の余地がなかったのでしょう。
「……まあ、確かに。お互い様、か」 先輩はバツが悪そうにそう呟くと、逃げるように自席へ戻っていきました。
その日を境に、職場の「謎の謝罪ルール」は自然消滅しました。
新人の真っ直ぐな一言が、凝り固まった古い常識を壊してくれたのです。
次は私が胸を張って「休みます!」と言えるように、この新しい空気を大切にしていきたいと思います。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
Feature
特集記事

