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「勉強用なので」図書館の本を撮影する男。だが、職員の一言をうけ、逃げるように去ったワケ【短編小説】
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本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
迷惑男の言い分
休日の図書館は、私にとって心のオアシスです。
静まり返った館内で本の世界に没頭する、その穏やかな時間が大好きでした。あの日、あの男が現れるまでは。
私が読書を楽しんでいると、突然「カシャッ、カシャッ」という無機質な音が静寂を切り裂きました。
驚いて顔を上げると、向かいの席のスーツ姿の男が、広げた専門書をスマホで撮影していたのです。
一枚や二枚ではありません。ページをめくっては撮影、を繰り返し、本の内容を丸ごと持ち帰ろうとしているようでした。
あまりのマナー違反に私が視線を送ると、男と目が合ってしまいました。
すると男は、悪びれる様子もなく、むしろ私を小馬鹿にしたように鼻で笑ったのです。
「なんだよ。勉強用だよ、勉強用。いちいちコピー機の前にならぶなんて時間の無駄だろ? 今時、これくらい効率化しないと」
男はそう言うと、再びスマホを構えました。
その傲慢な態度に、私は言い返したい気持ちを必死に抑えました。ここで騒ぎになれば、他の利用者の迷惑になってしまいます。
どうしたものかと悩んでいると、私の背後から一人の図書館職員が音もなく近づいてきました。
普段は穏やかで優しそうな年配の女性職員さんです。彼女は男の横に立ち、静かに声をかけました。
職員が放った衝撃の一言
「お客様、館内での資料の撮影はご遠慮いただいております」
男は面倒くさそうに顔を上げ、「いえいえ勉強用なので、おかまいなく!」と大声で威嚇しました。
その瞬間、彼女は笑顔を崩さず、冷ややかな声でこう告げたのです。
「勉強熱心なのは素晴らしいですが……その本、一冊数万円する絶版の貴重書につき、著作権法で厳しく保護されています。許可なきページの複製は『万引き』と同じ犯罪です。今すぐ警察にご同行いただきましょうか?」
その一言の効果は劇的でした。
「は、犯罪……?」
男の顔からみるみる血の気が引いていきます。周囲の視線が「犯罪者」を見る目に変わったことに気づいたのでしょう。
男は「ち、違う! もう帰る!」と叫ぶと、本を放り出し、逃げるように出口へ走っていきました。
「まずは法律のお勉強からですね」
職員さんが小さく呟いた言葉に、私は心の中で拍手喝采を送りました。
再び戻った静寂の中で読む本は、いつも以上に面白く感じられました。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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