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「まだ私に歌わせて!」とカラオケを独占する友人。だが、私のある皮肉に、表情が曇ったワケ【短編小説】

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
止まらない友人のワンマンショー
久しぶりに学生時代の友人と再会し、カラオケに行くことになったときの話です。 彼女は昔から「自分が主役じゃないと気が済まない」性格。
社会人になり少しは変わったかと期待していましたが、それは甘い考えでした。
個室に入るやいなや、彼女は素早く機械を確保。「まずは喉慣らし!」と、最新曲から懐メロまで10曲以上を連続で予約したのです。 最初は私もタンバリンで盛り上げていましたが、30分経っても1時間経ってもマイクは回ってきません。
隙を見て「次、入れたいな」と手を伸ばすと、彼女は画面を隠してこう言いました。
「ごめん! 今すごくノッてるから! 次の曲、練習してきたの!まだ私に歌わせて!」 悪びれる様子もなくマイクを離さない彼女。バラードで陶酔し、ロックで叫ぶ彼女を前に、私はただ氷の溶けた烏龍茶をすするだけの「観客」と化していました。
結局、2時間のフリータイムで私が歌った曲数は、まさかのゼロです。
終了間際、満足した彼女は汗を拭いながら満面の笑みで私を見ました。
「あー、スッキリした! やっぱりカラオケ最高だね。私の歌、どうだった?」
その無邪気な問いかけに、私の堪忍袋の緒が切れました。しかし、怒鳴るのではなく、私はあえてニッコリと微笑んでこう言いました。
笑顔で突きつけた「支払い拒否」
「すごかったよ。2時間ずっと一人でリサイタルなんて、プロ顔負けの体力だね。……で、まさかこの状況で『割り勘』なんて言わないよね? 私は一曲も歌わず聞いていただけの『観客』なんだから、今日の会場代は気持ちよく歌った主役持ちでお願いしていい?」
言葉の意味が分からず、きょとんとする彼女。 「え……?」 「だって、コンサートで観客が会場費を払うなんて聞いたことないでしょ?」
笑顔で詰め寄る私に、彼女の顔色はみるみる青ざめていきました。 会計時、私は自分のドリンク代だけを置いて店を出ました。背後で彼女が慌てふためく気配がしましたが、振り返りません。
それ以来、彼女とは連絡を絶っています。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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