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マッチングアプリで会った男「これ、読んでくださいね」帰り際に渡された分厚い資料にドン引き【短編小説】

好印象だった彼との初デート
最近、仕事と家の往復ばかりの日々に、少し彩りが欲しいなと思っていました。そんな軽い気持ちで、周りでも利用者が増えていたマッチングアプリを始めてみたんです。
いくつか「いいね」を送り合い、その中の一人の男性とメッセージが続きました。彼は私より少し年上で、趣味も合いそう。
文章がとても丁寧で、誠実そうな印象を持っていました。私たちはすぐに意気投合し、トントン拍子に話が進んで、週末にカフェでお会いすることになったのです。
当日、待ち合わせ場所に現れた彼は、写真通りの穏やかそうな人でした。「はじめまして」と笑う顔にホッとして、私たちは近くのカフェに入りました。
会話は思ったより弾みました。お互いの仕事のこと、休日の過ごし方、好きな映画の話。彼は私の話を「うんうん」とよく聞いてくれるし、時折ユーモラスなことも言って笑わせてくれます。
「あ、この人、結構いいかも」なんて、次も会いたいなと期待が高まっていたくらいです。
時計を見ると、もう夕方です。「早いですね」と驚きつつ、「じゃあ、この辺で」と解散することにしました。
本当に、この時までは何の違和感もなかったのです。むしろ「いい出会いだった」と思える、そんな初デートでした。
別れ際に渡された「謎のプレゼント」
駅の改札まで彼が送ってくれました。
「今日は楽しかったです。ありがとうございました」と私がお礼を言うと、彼も「こちらこそ。本当に楽しかった」と笑顔を返してくれました。
その時です。彼がふと真顔になり、持っていたビジネスバッグをごソゴソと探り始めました。
「あの、これ」
そう言って彼が取り出したのは、明らかに手作りではない、分厚い冊子というか、資料の束でした。
「え?」
「よかったら、これ、読んでくださいね」
彼はそれを私にグイッと押し付けてきました。表紙には、何かのセミナーか、自己啓発のような、少し怪しげなタイトルが大きく印刷されています。受け取った手が一瞬、そのずっしりとした重みで沈みました。
さっきまでの和やかな空気はどこへやら。彼の目は妙に真剣です。「成功」とか「本当の自分」とか、そんな単語が聞こえてきた気もします。
私は「あ、はあ……どうも……」と曖昧に返事をするしかありませんでした。
笑顔で手を振る彼と別れ、電車に乗った瞬間、全身の力が抜けました。ドン引き、という言葉が一番しっくりきます。あんなに普通に、楽しく話していたのに、なぜ最後にそれなのでしょうか。
家に帰って恐る恐る資料をパラパラとめくってみましたが、やはり内容はよくわからない精神論や、高額なセミナーへの勧誘でした。
もちろん、彼には丁重にお断りのメッセージを送り、すぐにブロックしました。
マッチングアプリって、本当に色々な人がいるんですね。いい勉強になった、と思うことにします。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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