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同棲10年目。「借金あるけど、結婚するよね?」とカミングアウトした彼。断った結果…【短編小説】

10年間の同棲と衝撃のカミングアウト
私たちには、もう恋愛のような熱はありませんでした。
同棲して10年。お互いがいることが当たり前で、空気のような存在。このまま、いつか結婚するんだろうな、と私も漠然と思っていました。
あの日も、いつも通りの夕食の時間でした。
テレビのバラエティ番組を見ながら、彼が、本当に「明日の天気」でも話すような軽い口調で、こう言ったのです。
「あ、そういえばさ」
「ん? なに?」
「俺、実は借金あるんだよね。まあ、500万くらい」
一瞬、お箸が止まりました。
500万?
彼がそんな素振りを見せたことは一度もありませんでした。
趣味のゲームにつぎ込んだのか、あるいは……。
私が言葉を失っていると、彼はケラケラと笑いながら、信じられない言葉を続けました。
信じられない言葉
「まあ、なんとかなるっしょ。それよりさ、借金あるけど、結婚するよね?」
「……え」
「もう10年だし。さすがに籍入れないと。お前も、結婚したら二人で返していけるだろ?」
背筋が凍りました。 彼が私に告げたのは「借金の告白」ではありませんでした。
それは「お前も、俺の借金を一緒に返すメンバーだよな?」という「決定事項」の通知でした。
彼は、私が「断る」なんて、1ミリも考えていなかったのです。
10年という月日。私は、彼と対等なパートナーだと思っていました。
でも、違った。
彼にとって私は、10年間タダで家事をしてくれ、そしてこれからは、自分の借金まで当たり前に背負ってくれる「都合のいい女」でしかなかったのです。
私は、ゆっくりとお箸を置きました。
「結婚は、しません」
「は? 何言ってんの? 冗談だろ?」
「借金があるからじゃない。その500万より、『結婚するよね?』って当たり前に私を巻き込もうとした、あなたのその考え方が無理」
彼は、それまで見たこともないような顔で激昂しました。
「ふざけんな! 俺がいないと生きていけないくせに!」
「10年も尽くさせておいて、今さら何だよ!」
彼は、私が「借金を一緒に返さない」ことに怒っていました。
私が彼と別れるという決断をした結果……彼は、私というパートナーを失うことではなく、「自分の借金を一緒に返済してくれる財布」を失うことに絶望していました。
それが、私たちの10年間の答えでした。 私はその日のうちに荷物をまとめ、あのアパートを出ました。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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