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「俺の予定あるから早めに産んでよ」夫の信じられない一言…横で聞いていた助産師がキレた結果【短編小説】

夫の心無い一言
お腹に宿った新しい命。
その子に会える瞬間を、私はずっと心待ちにしていました。
予定日を少し過ぎた日の夜中、ついに陣痛が始まり、私は夫と共に病院の陣痛室にいました。
不規則に襲ってくる、下腹部を締め上げられるような痛み。
「ふぅー、ふぅー……っ!」 私は必死に呼吸を整えようとしますが、経験したことのない痛みに、意識が遠のきそうになります。
そんな私の横で、夫は落ち着かない様子でスマホばかり見ていました。
「大丈夫? 痛い?」 時折、そう声をかけてくれますが、心はここにあらず、といった感じです。
私は、迫りくる痛みの波に耐えながら、「腰を、さすってほしいな……」と思いましたが、それを口に出す余裕すらありませんでした。
次の大きな痛みが少し和らいだ瞬間、夫が信じられない言葉を口にしたのです。
「なあ、悪いんだけどさ。今週末、俺、大事な接待ゴルフなんだよね。だから、できれば今日中に、早めに産んでくれない?」
……え? 私は一瞬、何を言われたのか理解できませんでした。
ゴルフ? 早めに産む? まるで、レストランで料理を注文するみたいな口ぶりに、全身から血の気が引いていくのが分かりました。
私が命がけで、この子を産もうとしている時に。
あまりのショックと、込み上げてくる怒りと悲しみで、言葉が出ません。
「そんな……私だって、いつ産まれるか……」 かろうじて絞り出した声は、陣痛の合間の荒い息に紛れてしまいました。
夫は、そんな私の様子にも気づかず、続けました。
「いや、部長も来る大事なやつでさ。キャンセルできないんだよ。だから、タイミングよくさ……」
助産師の怒り
その時でした。
「ご主人!!」
カーテンが勢いよく開けられ、さっきまで私を見てくれていた、ベテランの助産師さんが、仁王立ちになっていました。
いつもは穏やかで、「お母さん、頑張ってるね」と優しく声をかけてくれる助産師さんです。
しかし、その時の表情は、明らかに怒りに満ちていました。
「今、なんとおっしゃいましたか?」 静かですが、ものすごく低い声でした。
夫は「え、あ、いや……」と、しどろもどろになっています。
「『早めに産んで』? ご主人のゴルフの予定のために、ですか?」 助産師さんは、一歩夫に近づきました。 「いいですか。お産は機械のスイッチを押すのとは違います。奥さんは今、ご主人の想像を絶する痛みと戦いながら、赤ちゃんが安全に出てこられるように、命がけで頑張っているんですよ!」
「そ、それは、分かってますけど……」
「分かってません! 本当に分かっていたら、そんな無神経な言葉が出てくるはずがない!」 助産師さんの声が、静かな陣痛室に響き渡ります。 「あなたの『大事な予定』と、今ここで生まれようとしている『命』。どちらが大事か、もう一度よく考えてください! そんな心構えなら、今すぐ外に出てください! ここは、奥さんと赤ちゃんが命をかけて戦う場所です!」
夫は、助産師さんの気迫に圧倒され、顔を真っ赤にしてうつむいてしまいました。
私は、陣痛の痛みの中で、なぜか少しだけスッとしていました。
その後、夫は助産師さんに厳しく言われた通り、スマホをカバンにしまい、私の手を固く握ってくれました。
「ごめん……。俺、本当にバカだった……」 震える声で謝りながら、懸命に私の腰をさすってくれました。
数時間後、私は無事に元気な赤ちゃんを出産しました。
夫は、あの一件以来、人が変わったように育児に協力的です。 あの時、私以上に怒ってくれた助産師さんには、今も感謝しかありません。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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