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「性格悪そうな顔してるね」と入社初日の私に言い放った先輩が、翌週、突然異動になったワケ【短編小説】

先輩からの最悪な「洗礼」
社会人としての一歩を踏み出す入社初日。私は期待と不安で胸をいっぱいにしながら、配属された部署のデスクに座っていました。
指導係として私についてくれることになったのは、少し年上の女性の先輩でした。
「今日からよろしくね」
最初は穏やかに業務の説明をしてくれていたのです。パソコンの使い方、社内ルールの確認……。緊張しながらも、私は「はい!」と元気に返事をし、必死でメモを取りました。
一通りの説明が終わり、ふと二人きりになった瞬間。先輩が私の顔をじっと見つめてきました。
「……ていうかさ」
え、何でしょう? 業務で何かミスでも?そう身構えた私に、先輩はまったく悪びれずにこう言ったのです。
「あなた、性格悪そうな顔してるね」
一瞬、何を言われたのか理解できませんでした。耳を疑いました。
「え……?」
「いや、なんとなく。気が強そうっていうか。まあ、よろしく」
先輩はそう言うと、満足したように自分の席へ戻っていきました。私は、ただ呆然とするしかありません。
(性格悪そうな顔って……。初対面で、入社初日の新人に言うこと!?)
ショックと怒りと、そして何より「これからこの人とどうやっていけばいいんだろう」という深い絶望感。社会人生活は、最悪のスタートを切りました。
その日からの一週間は、地獄のようでした。先輩はあの一件以来、私を無視するわけではないものの、明らかにトゲのある言い方ばかり。他の人は優しいのに、その先輩がいるだけで空気がピリつきます。
私はすっかり萎縮してしまい、週末は泣いて過ごしました。
意地悪な先輩の「結末」
そして翌週、月曜日。 朝礼が始まると、部長がいつもと違う、少し改まった顔で口を開きました。
「辞令が出たので伝達します。〇〇さん(例の先輩)ですが、本日付で別支店へ異動となりました」
……えっ?
私は自分の耳を疑いました。あんなに突然?
チラリと先輩を見ると、顔面蒼白でうつむいています。どうやら本人にとっても寝耳に水だったようです。
なぜ? 私が何かしたから? いや、私は何もしていません。ただ耐えていただけです。
その日の昼休み。別の優しい先輩が、私にそっと声をかけてくれました。
「びっくりしたよね。でも、安心して。あの人、前から問題発言が多くて有名だったのよ」
聞けば、私だけでなく、他の後輩や、なんと取引先に対しても失礼な言動を繰り返していたそうです。陰で「要注意人物」としてマークされていたとか。
「あなたへのあの一言が、多分、最後の一押しになっちゃったんだろうね。部長もさすがに堪忍袋の緒が切れたみたい」
私は何もしていません。人事に訴えたりもしていません。ただ、先輩はこれまでの自分の行いによって、自ら異動の辞令を勝ち取ってしまったのでした。
会社って、見ていないようでちゃんと見ているんだな……。そう実感した出来事です。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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