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「お風呂入ってる?臭いよ」と言ってきた友人。身に覚えのない私が気づいた、臭いの意外な原因【短編小説】
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友人に言われた衝撃的な一言
私はどちらかというと潔癖症なほうだと思います。
毎晩必ずお風呂に入りますし、洗濯物もこまめに回します。
洋服だって、一度着たら必ず洗うようにしていました。
流行りの香り付き柔軟剤も大好きです。
だから、あの日、一番仲が良いと思っていた友人に真顔で言われた言葉が、どうしても信じられませんでした。
「ねえ、ちょっと言いにくいんだけど……お風呂入ってる? 臭うよ……」
カフェでお茶をしている時でした。
頭をガツンと殴られたような衝撃。
「え?」
「いや、なんか……汗っぽいというか、ちょっと酸っぱいような……。ごめん、でも本当に心配してるから言うね」
顔が真っ赤になるのが分かりました。
私はその日、朝シャワーも浴びてきたのです。
お気に入りの香りの服を着て。
身に覚えが、まったくありませんでした。
しかし、一番親しい友人に「臭う」と指摘された事実は重く、私はその日からノイローゼ気味になりました。
お風呂では、いつもより二倍の時間をかけて念入りに体を洗い、デオドラント製品も一番高いものに買い替えました。
洗濯も、除菌効果をうたった洗剤と漂白剤を併用するようにしました。
それでも、次に会った時、彼女はまた顔をしかめたのです。
「……まだ、ダメみたい。ごめん、今日も臭う」
私は泣きそうになりました。 勇気を出して、職場の同僚や、実家に帰ったときに母にも
「私、何か臭うかな?」
と恐る恐る聞いてみました。
でも、二人とも
「え? 別に? いつも通りの良い匂いだけど」
と首をかしげるばかり。
どうして、彼女だけが?
私は、彼女にだけ反応する、何か特殊な体質にでもなってしまったのでしょうか。
彼女と会うのが、だんだん怖くなっていました。
臭いの正体
そして、運命の日。私たちは彼女の家でDVDを見る約束をしていました。
私はまた「臭う」と言われるのではないかと、家を出る直前にもう一度シャワーを浴び、新品の服をおろして向かいました。
彼女の部屋のドアが開いた瞬間。(あ……!) 私は気づきました。あの日カフェで、その次に会った時も感じた、あの「酸っぱいような」独特の匂い。
それが、彼女の部屋に充満していたのです。
私は恐る恐る尋ねました。
「ねえ、この匂いって……」
すると、彼女は「あ!」と何かを思い出したように言いました。
「ごめん! 今、洗濯物が部屋干し中でさ! 私、この匂い、もう鼻が慣れちゃってた」
そう。彼女が「臭う」と言っていたのは、彼女自身の部屋干しの匂いだったのです。 彼女はその匂いにすっかり鼻が慣れてしまい、自分ではまったく気づいていませんでした。
そして、私と会う時、なぜかその匂いが「際立って」感じられたのでしょう。おそらく、私がつけていた香水や柔軟剤の匂いと混ざった瞬間、彼女の鼻が
「あの匂い(=自分の部屋干しの匂い)」
を強く認識してしまったのです。
彼女は、自分が「臭い」と思っていた匂いの発生源が自分自身であり、それを私から発せられていると勘違いしていたことに気づき、真っ赤になって謝ってきました。
「お風呂入ってる?」
あの言葉のブーメランは、あまりにも強烈でした。 ですが、原因が私でなかったことに、心の底からホッとしたのでした。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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