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「苦労するから貧乏人とは付き合うな!」と言ってた親が、彼の名刺を見て顔色が一変…実は…【短編小説】

質素な彼
「苦労するから貧乏人とは付き合うな!」
これは、私が物心ついた時から、母に言われ続けてきた言葉です。母自身が苦労したのかは分かりませんが、娘には絶対に楽をしてほしい、という強い思いが込められていました。
そんな私が、彼と出会ったのは半年前。
彼はいつも着心地の良さそうなTシャツとデニム姿で、高価なブランド物には一切興味がなさそうでした。デートといえば、近所のカフェでお茶をしたり、公園をのんびり散歩したり。たまにする外食も、チェーンのお店や定食屋さんがほとんど。
けれど、彼はいつも穏やかで、私の話をうんうんと頷きながら聞いてくれる、とても心の温かい人でした。私は、彼といるとホッとできる、その人柄に強く惹かれていったのです。
とはいえ、両親に紹介するのは、正直とても不安でした。
「きっと、母は反対する…」
そう思うと、なかなか言い出せずにいました。しかし、彼と真剣に将来を考えているからこそ、いつまでも隠しているわけにはいきません。私は意を決して、彼を実家へ連れて行くことにしました。
まさかの正体
当日。実家のリビングは、いつもより空気が張り詰めているように感じます。
案の定、彼を見るなり、母の顔が一瞬こわばりました。父も、値踏みするような視線を彼に送っています。
「娘と、どういうお付き合いを?」
父の硬い声に、私は心臓が縮み上がる思いでした。
「お仕事は、何をされているの?」
母の少しトゲのある質問に、彼は「あ、普段は…」と少し困ったように笑いながらも、スーツの内ポケットに手を入れて、名刺入れを取り出しました。
「ご挨拶が遅れました。こういう者です」
「……」
彼から名刺を受け取った母は、それに目を落とした瞬間、ピシリと固まりました。
そして、数秒の沈黙の後、今まで聞いたこともないような甲高い声を出したのです。
「え…!? あ、あの…!?」
母は名刺と彼の顔を何度も見比べ、急に慌てて立ち上がりました。
「まぁ! あなた! お茶を淹れ直して! こちらの方、〇〇株式会社の…!」
その社名は、私でも知っている、いや、日本で知らない人はいないほどの超有名企業。そして、そこに書かれた彼の役職は、私が想像していた「質素な彼」とは、まったく結びつかないものでした。
さっきまでのトゲトゲしい空気は一瞬で消え去り、「どうぞどうぞ」「お若くしてご立派ねぇ」と、満面の笑みで彼に話しかける両親。
私は、その変わりように呆然としながらも、彼が「肩書き」でしか見られていないことに、少しだけ胸がチクリと痛んだのでした。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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