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「泣くなら子供を電車に乗せるな!」と怒鳴った男性。青ざめる私を救った夫の一言とは?【短編小説】

響き渡る息子の泣き声
あれは、夫と2歳になる息子と3人で、電車に乗っていた時のことです。
休日の夕方、電車は想像以上に混み合っていました。私たちはドアの近くに立ち、窓の外を流れる景色を息子に見せていました。
最初は「でんしゃー!」と喜んでいた息子ですが、しばらくすると退屈してきたのか、ぐずり始めてしまいました。
「あ、まずいな」
そう思った時にはもう遅く、息子の泣き声はどんどん大きくなっていきます。
私は慌てて「ごめんね、もう少しだからね」と声をかけ、背中をトントンと叩きます。夫もカバンからお気に入りのおもちゃを取り出して息子の気を引こうと必死です。
周囲の乗客の視線が、私たちに突き刺さるのを感じました。「すみません、すみません…」と、私は誰にともなく謝り続けていました。息子の泣き声は、焦れば焦るほど大きくなる気がしました。
夫が見せた、静かな強さ
その時です。
「うるさいな! 泣くなら子供を電車に乗せるな!」
私たちの目の前に立っていた中年の男性が、真っ赤な顔でそう怒鳴りつけました。
ビクッと体が震え、私の頭は真っ白になりました。あまりの剣幕に、息子も一瞬泣き止み、私にしがみついてきます。
「も、申し訳ありません…」
私は青ざめ、震える声でそう絞り出すのがやっとでした。車内の空気は凍りつき、私は今すぐにでもこの場から逃げ出したい気持ちでいっぱいでした。
もうダメだ、次の駅で絶対に降りよう。
そう決意した瞬間、それまで黙っておもちゃを振っていた夫が、すっと私と息子の前に立つように一歩前に出ました。
そして、怒鳴った男性をまっすぐに見据え、静かに、しかしはっきりとこう言ったのです。
「ご迷惑をおかけして申し訳ありません。ですが、今あなたが怒鳴りつけたその大きな声で、うちの子が余計に怯えてしまいました」
夫はそこで言葉を切らず、冷静に続けました。
「子供が泣いてしまったのは、親である私たちの責任です。しかし、だからといって、他のお客さんもいる前で、大声で威圧するのはやめていただけませんか?」
毅然とした夫の態度に、男性は一瞬たじろぎました。そして、何か言い返そうと口を開きかけましたが、周囲の乗客の冷ややかな視線に気づいたのか、バツが悪そうに目をそらし、次の駅でそそくさと降りていきました。
夫は私に向き直り、「大丈夫だった?」と優しく声をかけてくれました。私はこくんと頷きながら、まだ少し震えている息子を強く抱きしめました。
パニックになっていた私を救ってくれたのは、夫の冷静で毅然とした一言でした。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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