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「育休明けで仕事なめてるよね?」と嫌味を言う同僚が、上司から呼び出しをくらった結果【短編小説】

育休から復帰、必死だった私
私は1年間の育児休暇を経て、この春、職場に復帰しました。
もちろん、以前と同じようには働けません。今は時短勤務を利用させてもらい、保育園のお迎えに間に合うよう、毎日バタバタと働いています。
久しぶりの仕事は、楽しい反面、ブランクを取り戻す焦りもありました。周りのみんなに迷惑をかけてはいけない。限られた時間で最大限の成果を出さなければ。そんな思いで、毎日必死でした。
そんなある日のことです。
保育園のお迎え時間が迫り、私が急いで退勤の準備をしていた時でした。斜め向かいの席に座る同僚が、聞こえるか聞こえないかの絶妙な声で、しかし明らかに私に向けて言ったのです。
「いいよな、早く帰れて。育休明けで仕事なめてるよね?」
一瞬、何を言われたのか分かりませんでした。キーボードを打つ手が止まり、全身の血の気が引いていくのが分かりました。
なめてる?
毎日、息が切れるような思いで仕事と育児を両立させようと走っているのに。
怒りと悲しさで言葉に詰まりましたが、ここで騒ぎ立てても周りにさらなる迷惑をかけるだけです。私はぐっと奥歯を噛みしめ、「そんなことはありません。お先に失礼します」とだけ返し、足早にオフィスを出ました。
その日の帰り道は、悔し涙がこぼれそうになるのを必死でこらえました。
見てくれている人はちゃんといる
それから数日が経ち、少し気持ちも落ち着いてきた週明けのことです。
あの日以来、なんとなく気まずい雰囲気のあったその同僚が、始業してすぐに上司に呼び出されているのを見かけました。
「ちょっといいか」
低めの声で呼ばれた同僚は、きょとんとした顔で会議室に入っていきました。
(何かあったのかな……)
そう思ってから30分ほど経ったでしょうか。会議室から出てきた同僚の顔を見て、私は息をのみました。
真っ青、というより土気色だったのです。
彼は私と目を合わせることもなく、重い足取りで自席に戻ると、そのままうつむいてしまいました。
その日の午後、上司がそっと私のところにやってきました。
「この前の件、大丈夫だったか? もし他にも何か言われたりしたら、すぐに報告してくれ」
どうやら上司は、あの日の同僚とのやり取りを見ていたか、あるいは他の誰かが報告してくれたようでした。
「会社として、ああいう発言は絶対に許されないことだから。彼には厳重に注意した。君は何も気にせず、自分のペースで頑張ってくれればいい」
私は、上司のその言葉に心から救われた気持ちになりました。
見てくれている人は、ちゃんと見てくれている。私は私のやるべきことを精一杯やろう。そう強く思えた出来事です。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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