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「ゆっくりくつろげないわ」ホテルで嫌味を言う宿泊客を黙らせた爽快な請求内容とは?【短編小説】
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細かすぎるクレーム客
「フロントの相川です。本日はようこそお越しくださいました」
私が働くホテルに、そのお客様、白鳥様ご夫妻が到着されたのは、雨が降り始めた午後でした。私は笑顔で迎えましたが、奥様はロビーを見渡しながら、ため息交じりにこうおっしゃいました。
「ここ、本当に写真通りのホテルなの?なんだか薄暗いわね」
不穏な空気を感じつつも、私は丁寧にお部屋までご案内しました。しかし、予感は的中します。お部屋に入って数分も経たないうちに、フロントの内線が鳴り響きました。
「もしもし、相川さん?お部屋、掃除が行き届いてないわね」
慌てて駆けつけると、白鳥奥様は窓のサッシを指さし、「ここ、埃がたまってるわ」。さらにはベッドのヘッドボードの上をわざわざ指でなぞり、「見て、これ」。確かに、目を凝らさなければわからないような僅かな塵でした。
「大変申し訳ございません。すぐに清掃担当を再度向かわせます」
「プロの仕事なんでしょう?こんなんじゃ、ゆっくりくつろげないわ」
その後も、「タオルがごわつく」「お茶の淹れ方の説明書きがない」と、夜遅くまでクレームは続きました。私たちはその都度、平謝りするしかありませんでした。
支配人の一撃
翌朝。いよいよチェックアウトの時間です。フロントに現れた奥様は、勝ち誇ったような笑みさえ浮かべていました。
「昨日は本当に散々だったわ。もちろん、こんなサービスだったのだから、宿泊費は当然、お安くしてくださいますよね?」
私は静かに一枚の請求書を差し出しました。
「白鳥様。こちらが請求書でございます」
請求書を見た奥様の顔が、一瞬で強張りました。通常の宿泊費に加え、「器物損壊費用:100,000円」という項目が追記されていたのです。
「な、何これ!?どういうことよ!」
そこで、控えていた支配人の五十嵐が静かに口を開きました。
「お客様。お部屋を確認させていただきましたが、カーペットに赤ワインがこぼれ、アンティークの花瓶が粉々に砕け散っておりました」
五十嵐支配人は、証拠として撮影した数枚の写真をカウンターに並べます。
「これらは通常の使用による汚損とは認められません。利用規約に基づき、原状回復費用としてご請求させていただきます」
写真に写っていたのは、私たちが指摘された箇所以外の、明らかに意図的な破壊行為の痕跡でした。
奥様は顔を真っ赤にして黙り込み、隣のご主人が慌ててクレジットカードを差し出しました。
「……失礼しますっ」
逃げるように去っていくお二人の背中を見送りながら、理不尽な要求には毅然と対応する大切さを、私たちは改めて実感したのでした。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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