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「私、店長に気に入られてるの」と言いふらすバイトが店長に呼ばれた本当の理由とは?【短編小説】

悩みのタネの後輩
私は美咲(みさき)。近所のベーカリーでアルバイトリーダーをしています。
パンの焼ける良い香りに包まれて、仕事自体はとても好きなのですが、最近少し悩みのタネがあります。
半年ほど前に入ってきた後輩の彩香(あやか)ちゃんです。
彼女は休憩室に入るたび、私たち他のスタッフにこう言いふらすのです。
「聞いてくださいよー! 私、店長に気に入られてるの〜」
「昨日もシフトのことで、わざわざ私だけ呼ばれちゃって」
私はいつも「そ、そうなんだ。よかったね」と曖昧に笑ってごまかします。
他のパートさんたちも、困ったように顔を見合わせているだけです。
確かに、彩香ちゃんが佐藤店長から頻繁に名前を呼ばれているのは事実です。
でも、その理由は彼女が思っているような、ポジティブなものでは決してありません。
私たちベテランスタッフの間で、彩香ちゃんが「覚えられている」本当の理由。
それは、彼女が「レジ誤差の常連」だからです。週に2回は必ず、千円単位でお金が合わなくなるのです。
決定的な出来事が起きたのは、先週の土曜日のことでした。
夕方の忙しい時間が終わり、私がレジ締めの中間チェックをしていると、案の定、五千円も誤差が出ていました。
店長に呼ばれた後輩
私が報告する前に、店長が険しい顔で事務所から出てきました。
「彩香さん! ちょっと事務所まで!」
その大きな声を聞いた彩香ちゃんは、待ってましたとばかりに「はーい! 今行きまーす!」と弾んだ声で返事をしました。
そして、すれ違いざま、私にこっそりウインクまでしてきたのです。
「ほら、また呼ばれちゃった」とでも言いたげに。
私はため息をつきながら、作業に戻りました。
しばらくすると、事務所のドアの隙間から、佐藤店長の怒鳴り声に近い声が聞こえてきました。
「何度言ったらわかるんだ!」 「五千円だよ!? また君の時間帯だ!」
10分後、事務所から出てきた彩香ちゃんは、さっきまでの自信満々な態度はどこへやら、目を真っ赤にして俯いていました。
彼女が「お気に入り」の証拠だと思っていた「店長に呼ばれること」は、単なる「ミスの報告と指導」の時間だったのです。
悪い意味で目立つことと、好意を持たれることは違います。
彼女がその現実に気づき、まずは正確なレジ操作を覚えてくれることを、私は切に願っています。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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