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「起きてるの知ってるんだぞ」ストーカーになった元彼。恐怖が頂点に達した私の行動とは?【短編小説】

ストーカーになってしまった、元彼
土曜の深夜2時。
部屋の明かりを消し、ベッドに入ったばかりの美咲のスマホが、テーブルの上で激しく振動を始めた。
画面に表示された名前は「和也」。
一ヶ月前に別れた元彼だった。
(また…!) 美咲は息を殺し、スマホの電源ボタンを押して画面を暗くした。
コール音が止む。
不在着信の通知が「18件」に増えていた。
静寂が戻ったのも束の間、LINEの通知音が連続で鳴り響く。
ピコン、ピコン、ピコン。
暗闇の中、通知の光が天井を不気味に照らした。
恐怖よりも、じりじりとした苛立ちが湧き上がってくる。
美咲はスマホを手に取り、トーク画面を開いた。
和也:なんで電話出ないの?
和也:起きてるの知ってるんだぞ。
次々と送られてくるメッセージが、一瞬で“既読”に変わっていく。
美咲は深呼吸を一つして、冷たい指先で文字を打った。
美咲:もう連絡してこないで。
美咲:私たちはもう終わったんだよ。
送信した瞬間、即座に“既読”がついた。
和也:終わってない。
和也:俺は終わらせるつもりないから。
和也:今日の昼間、カフェで笑ってた男は誰?
ぞわり、と背筋が凍る。
(見てた…?) 会社の同僚とランチをしていただけだ。
美咲:どういうこと…?
和也:見てたから。
和也:新しい男、早いね。許せない。
直後、写真が一枚送られてきた。
カフェの席で同僚と話している、紛れもない自分(美咲)の後ろ姿。
窓の外から盗撮されたものだった。
美咲:やめて…!
美咲:怖いよ!
和也:怖い?
和也:今、ベッドから起きただろ。電気もつけた。
和也:そんなに慌てなくても、部屋には入らないよ。
和也:まだね。
美咲は窓を見上げた。
確かに今、恐怖でベッドから飛び起き、部屋の電気をつけた。 (どこから見てるの!?)
次の通知が、美咲の思考を止めた。
和也:家の前にいるんだ。
和也:鍵、まだ持ってること、忘れた?
元彼に突きつけた現実
恐怖が頂点に達した。
玄関のドアが、今にもガチャリと音を立てて開くのではないか。
手のひらが汗でじっとりと濡れる。
だが、その脅し文句を聞いた瞬間、凍りついていた美咲の頭が、逆にすっと冷えていくのがわかった。 (鍵…ああ、それか) 震えていた指が、ぴたりと止まる。
美咲:どの鍵のこと?
数秒の沈黙。和也からの返信が、少しだけ遅れた。
和也:は? お前ん家の鍵に決まってるだろ。
美咲は、嘲笑さえ浮かべそうな勢いで、強く画面をタップした。
美咲:ああ、あれね。
美咲:悪いけど、あなたと別れた翌日に、シリンダーごと全部替えたよ。
和也:…は?
和也:嘘つくな。
美咲:嘘だと思うなら、その『持ってる鍵』で開けてみれば?
美咲:あ、でもやめたほうがいいかも。
和也:なんだよ
美咲:さっきからずっと着信がうるさくて眠れないって、警察に通報したところだから。
美咲:家の前にいるんでしょ? ちょうど良かった。
画面の向こうの空気が、凍りついたのが分かった。
和也:は…? 警察?
和也:お前、ふざけんなよ!
美咲:ふざけてるのはどっち? 美咲:昼間のカフェの写真も、今送られてきた「家の前にいる」「鍵を持ってる」っていう脅迫LINEも、全部スクリーンショット撮ったから。
美咲:到着したお巡りさんに、そのまま証拠として提出するね。
和也:待て、美咲!
和也:悪かった!
和也:冗談だよ!もう帰るから!
美咲は返信を打つのをやめ、アパートのカーテンの隙間から、そっと外を見下ろした。
街灯の下、見慣れたアパートの入り口から、黒いパーカーの人影が慌てた様子で走り去っていくのが見えた。
美咲は荒い息をつきながら、その場に座り込んだ。
心臓はまだ激しく鳴っている。 だが、もう恐怖はなかった。
彼女はスマホを握りしめ、最後のメッセージを打ち込んだ。
美咲:もう二度と私の前に現れないで。
美咲:次はないよ。
送信ボタンを押す。 数秒後、画面の下に“既読”の文字が静かに灯った。
それきり、和也から返信が来ることはなかった。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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