MENU

Follow Us

Share

初デート後、上から目線で既読スルーの彼。「君の魅力が…」を“秒で論破”した返信[短編小説]

初デート後上から目線で既読スルーの彼君の魅力がを秒で論破した返信短編小説

 

マッチングアプリでの出会いに、あまり期待をしなくなった今日この頃。そんな時にマッチングしたのが、達也さんでした。商社勤務で、趣味は海外旅行と読書。丁寧なメッセージのやり取りに、久しぶりに「この人になら会ってみたいかも」と心が動いたのです。

実際に会ってみると、彼は想像以上に素敵な人でした。お洒落なカフェのテラス席で、途切れることのない会話。仕事への価値観や好きな映画の話で盛り上がり、あっという間に2時間が過ぎていました。

「すごく楽しかった。またすぐに会いたいな」

別れ際にそう言ってくれた彼の言葉を、私はすっかり信じきっていました。その夜、「今日はありがとうございました!」と送ったLINEに「こちらこそ!また連絡するね!」と返信があった時には、次のデートのことで頭がいっぱいでした。

突然の「既読スルー」と、モヤモヤの一週間

しかし、その日を境に、彼からの連絡はパタリと途絶えました。

翌日も、その次の日も、スマホは沈黙したまま。3日後、私から「週末はどうでしたか?」と軽いメッセージを送ってみましたが、すぐに「既読」の文字がついただけで、返信はありませんでした。

いわゆる「既読スルー」。

頭では「脈なしだったんだな」と理解しようとしても、心がついていきません。あの楽しかった時間は何だったの?何か気に障ることを言っただろうか?そんな風に、一人でぐるぐると反省会を繰り返す日々。時間が経つにつれ、淡い期待は自己嫌悪へと変わっていきました。

一週間後、彼から届いた”衝撃のレビュー”

すっかり彼のことを諦めかけていた、一週間後の夜。ピロン、とスマホが鳴り、画面には「達也」の文字が。一瞬、心臓が跳ねましたが、そのメッセージを読んだ瞬間、全身の血が逆流するような感覚に襲われました。

アヤさん、先日はありがとう。
あれから少し考えてみたんだけど、正直、アヤさんの魅力があまり僕には伝わらなかったかな。
もう少し自分から積極的にアピールしないと、良いご縁は巡ってこないと思うよ。今後の参考までに

…は?

怒りを通り越して、もはや笑えてきました。これは何?不採用通知?それとも、ありがたい人生の先輩からのアドバイス?一週間も散々無視しておいて、この信じがたいほどの上から目線のメッセージ。私のこの一週間のモヤモヤした気持ちは、一体何だったのか。

私の魅力を伝える必要など、1ミリも無かった

ふつふつと湧き上がる怒りに任せて、「失礼な人ですね!」と送りつけてやりたい衝動を、ぐっとこらえました。感情的になるだけ無駄だ。こんな男性に、私の貴重な感情を使う価値はない。

私は深呼吸を一つすると、冷たい理性でスマホの画面をタップし始めました。彼がくれた「ご丁寧なフィードバック」とやらに、私からもお返事をしなくては。

達也さん、ご丁寧なフィードバックをありがとうございます。
おかげさまで、私の中で一つ、明確な答えが出ました。
初対面の相手に対し、1週間も既読スルーした挙句にこのような無礼なレビューを送ってくる男性に、私の魅力を伝える必要は1ミリも無かった、ということです。
こちらこそ、今後の貴重な参考にさせていただきますね。

送信ボタンを押した指先は、驚くほどスッキリとしていました。

メッセージには、すぐに「既読」がつきました。しかし、彼からの返信は、その後二度とありませんでした。おそらく、彼には論破されたことすら理解できなかったか、あるいは都合の悪いメッセージは見えないことにしたのでしょう。

どちらにせよ、もうどうでもいい。私は彼の連絡先をブロックし、トーク履歴を綺麗さっぱり削除しました。

人に評価されることで、自分の価値が決まるわけじゃない。特に、礼儀も誠実さも無い相手の言葉なんて、気にするだけ時間の無駄。今回の件で、私は自分の魅力を誰に伝えるべきか、はっきりと学ぶことができました。もう、彼の顔も名前も思い出せませんが、この教訓だけは、今後の人生で大切にしていこうと思います。

併せて読みたい

Gallery

SHARE !

この記事をシェアする

Follow us !

GLAM公式SNSをフォローする

Feature

おすすめ記事

Ranking