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「その程度のミスなら、見つけた人が直せばいいですよね?」10歳年下の後輩のリーダーに指摘。だが、返ってきた言葉にため息が止まらない

「その程度のミスなら、見つけた人が直せばいいですよね?」10歳年下の後輩のリーダーに指摘。だが、返ってきた言葉にため息が止まらない

すれ違う温度差、思いがけない反発

薄暗くなった夜のナースステーション。私は電子カルテの画面を見つめるふりをしながら、やり場のない特大のため息をこぼした。

数時間前の、日勤から夜勤への引き継ぎでの出来事が、頭の中で何度も繰り返されている。

「ここ、最終チェックが漏れてるよ。リーダーを任されてるんだから、詰めが甘いと周りが困るよ」

私は、10歳以上年下の彼に声をかけた。つい最近、日勤のリーダーという大役を担うようになったばかりの後輩だ。

「あ……すみません。でも、その程度のミスなら、見つけた人が直せばいいですよね?」

「……は?」

予想だにしない開き直りに、私は言葉を失った。

たしかに、今までなら私がそっと修正して、無言でフォローしていたレベルの些細な抜けだったかもしれない。

けれど、今は状況が違う。彼にはリーダーとしての自覚と、自分の仕事に対する責任の重さを知ってほしかった。だからこそ、甘やかすことなく「あえて」言葉にして伝えたのだ。

しかし、私の思いとは裏腹に、彼の態度はあからさまに硬化した。

苛立ちを隠そうともしないその表情に、私の胸の奥で冷たいものがスッと流れるのを感じた。

静寂の中で繰り返す自問自答

「そういうこと言ってるんじゃないよ。あなたがリーダーとしての責任を背負う立場になったから言ってるの」

「わかってますって!今日は病棟がバタバタしてたんだから、少しぐらい多めに見てくれたっていいじゃないですか!」

彼は不機嫌にそう言い放つと、逃げるように足早に帰ってしまった。

入職当初からずっと面倒を見て、手塩にかけて育ててきたつもりだった。それなのに、あんなにも真っ直ぐな反発を食らうとは。

怒りよりも先に、鈍い痛みを伴う悲しみが込み上げてくる。

深夜の静寂の中、ひとり残された空間で堂々巡りの自問自答が始まる。

言葉の選び方が厳しすぎたのだろうか。

彼の小さなプライドを、無神経にえぐってしまったのだろうか。

波風を立てるくらいなら、これまで通り私が黙ってミスの尻拭いをすればよかったのか。

「……でも、言葉にしないと、いつまでも甘えたままでしょ」

電子機器の稼働音だけが響く空間に、ぽつりとこぼした独り言は虚しく溶けていった。

立派なリーダーに成長してほしい。その一心からの行動だったのに、彼にとっては単なる「口うるさい先輩の嫌味」にしか聞こえなかったのだろうか。

良かれと思って投げかけた言葉が、相手に真っ直ぐ届くとは限らない。

人を育てることの正解のない難しさに直面し、私の心にはいつまでも消化不良の重たいモヤモヤが居座っていた。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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GLAM Lifestyle Editorial

編集部

日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。

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