Share
「混んでるんだ!新人は階段を使え」キレる課長。だが、階段を使ってる人物の顔を見て空気が一変【短編小説】
INDEX

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
混雑するエレベーター
私の勤める会社が入っているビルは、正直言って少し不便です。
築年数も古く、何より困るのが、ビル全体でエレベーターがたった一基しかないことです。
他のフロアには別の会社も数社入っているため、朝の通勤ラッシュや昼休憩の時間は、常にエレベーター待ちの長蛇の列ができてしまいます。
「またか……」 誰からともなく溜息が漏れ、エレベーターホールにはいつも重苦しく、イライラした空気が充満していました。
誰もが早くオフィスに行きたい、早く外に出たいという焦りを抱えているのが手に取るようにわかります。
入社したばかりの私は、その日もエレベーターの前で大人しく順番を待っていました。
すると後ろから、足音を荒立てて課長がやってきました。
課長は表示パネルの数字を見て、隠そうともせずに私を睨みつけました。
「おい新人!これだけ混んでるのが見えないのか?若いくせにのんびりエレベーターを待つなんて時間の無駄だ。新人は階段を使え!」
静かなホールに課長の怒声が響き渡ります。
周りの社員たちは関わりたくないという風に、一斉に視線を逸らしました。
私は顔が熱くなるのを感じながら、「すみません……」と小さく頭を下げ、すぐ横にある非常階段の重い扉へ向かおうとしました。
ところが、私が扉に手をかけた、その瞬間のことです。
階段を使っていたのは
「おや、おはよう。君も階段派かな?」 上から明るい声が聞こえ、階段を降りてきたのは、なんとこの会社の部長でした。
部長は額にうっすらと汗をかきながら、清々しい笑顔で私に声をかけてくれたのです。
「エレベーターはいつも混むからね。私は朝の運動不足解消に、毎日階段を使っているんだよ。新人なのに君も進んで階段を使うとは、実に感心だね」
部長のその言葉を聞いた瞬間、背後で凍り付いたような気配がしました。
振り返ると、そこには顔を真っ青にして固まっている課長の姿がありました。
「あ、いや、その……」 さっきまで私に「新人は階段を使え」と高圧的に命じていた課長ですが、自分より役職の高い部長が自ら進んで階段を使っているのを見て、完全に言葉を失っています。
部長は課長の動揺に気づく様子もなく、「皆も健康のためにどうだい?」と笑って去っていきました。
それ以来、エレベーター前で課長が私に理不尽な難癖をつけることは一度もありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
Feature
特集記事

