Share
「ゴミ捨てたわよ」と勝手に部屋を掃除した妻。だが、捨てられた物を見て別れを決意【短編小説】

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
部屋を掃除した妻
「あ、おかえり。部屋、ゴミだらけだったから掃除しておいたわよ」
仕事から帰宅した私を待っていたのは、スッキリと片付いたリビングと、満足げに微笑む妻の姿でした。
以前から彼女は「掃除が苦手な私のために」と、時々私の書斎を整理してくれていました。
しかし、その日はいつもと様子が違いました。
部屋の隅に置かれた大きなゴミ袋。
そこから、見覚えのある「青い色の破片」がのぞいていたのです。
「……これ、捨てたの?」
私が震える指で指すと、妻はテレビを見ながら無造作に答えました。
「そう、その変な置物。ずっと棚の端っこで埃をかぶってたじゃない。色も褪せてるし、もういらないでしょ?」
捨てた物の正体とは
私の心臓が、ドクンと大きく跳ねました。
それは「変な置物」などではありません。
ちょうど3年前の結婚記念日。
2人で旅行へ行った際、慣れない手つきでお互いに作り合った、世界に一つだけのガラス細工のペアグラスでした。
「これ、結婚記念日に2人で作ったグラスだよ。覚えてないの?」
私の問いかけに、妻は一瞬だけ手を止めましたが、すぐに鼻で笑いました。
「ああ、そんなこともあったっけ。でも、もう片方は割れちゃったし、一つだけあっても意味ないじゃない。そんな古い思い出に執着するなんて、あなたらしくないわよ」
彼女にとって、それはすでに「役目を終えたゴミ」に過ぎなかったのです。
あの日、2人で笑いながら作った時間。
大切に持ち帰った記憶。
私にとっては、どんなに色が褪せても宝物だったものが、彼女にとっては視界の邪魔になる不用品でしかありませんでした。
「古い思い出」を切り捨てた彼女の横顔を見て、私は悟りました。
彼女が捨てたのは、単なるガラスの塊ではなく、私たちが共に積み重ねてきた「時間」そのものだったのだと。
「……そうだね。もう意味がないね」
私はそう呟き、彼女が綺麗に掃除した部屋を後にすることに決めました。
形のない思い出を共有できない相手と、これ以上同じ屋根の下で過ごすことは、私には耐えられなかったからです。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事

